新型コロナワクチン接種費用 “国の全額負担見直しを” 財政審

新型コロナウイルスのワクチン接種の費用を国が全額負担していることをめぐり、財務大臣の諮問機関、財政制度等審議会は、見直しを求めることでおおむね一致しました。近く、正式に提言として取りまとめることにしています。

新型コロナのワクチン接種にかかる費用は、国から自治体などに補助金の形で支給し、昨年度・令和3年度には2兆3000億円余りの国費が投じられています。

7日開かれた審議会の会合では、財務省の担当者が補助の対象や費用に制限が設けられていないとしたうえで、医師の不足から委託費が通常の3倍を超える事例や、人口1人当たりの補助金の使用額が自治体の間で、最大で24倍もの差がある実態を説明しました。

そのうえで、季節性インフルエンザなどと同じように、接種希望者が費用の一部を負担する「定期接種」に移行するなど、見直しを図るべきと指摘しました。

これに対して、委員の間からも支援の緊急性は薄れているといった意見が出され、見直しを求めることでおおむね一致しました。

審議会の増田寛也分科会会長代理は、記者会見で「重症化の程度や重症化率を見ながら、特例的な措置は廃止していく方向で検討していくべきだ」と述べました。

審議会では、新年度の予算編成に向けて今月下旬にも財務大臣に対して正式に提言を取りまとめることにしています。

オミクロン対応ワクチンの接種加速 自治体へ協力要請を 総務相

新型コロナの感染の第8波や、インフルエンザとの同時流行が懸念される中、寺田総務大臣は省内の会議でワクチン接種の加速に向けて、接種の事務を担う地方自治体への働きかけを強化するよう指示しました。

9月から始まった新型コロナウイルスのオミクロン株に対応したワクチンを接種した人は、11月3日時点で737万人余りと、国民全体の5.9%にとどまっています。

こうした中、総務省は7日に幹部職員を集めた新型コロナの「地方連携推進本部」の会議を開き、寺田総務大臣は「年末年始に感染の拡大が見られ、ことしは季節性インフルエンザとの同時流行が懸念されている。ワクチン接種の加速化に全力であたってほしい」と述べました。

そのうえで「自治体による接種促進、自治体での夜間・休日の接種など、接種しやすい環境の整備や、首長に率先して接種してもらうなど、さらなる協力要請をしてほしい」と述べ、地方自治体への働きかけを強化するよう指示しました。

岸田首相 ワクチン接種加速 自治体に協力要請 全国知事会議

新型コロナの第8波や、インフルエンザとの同時流行が懸念される中、岸田総理大臣は、全国知事会との会合で、ワクチン接種の加速に向けた自治体の協力を要請しました。

政府主催の全国知事会議が7日夜、総理大臣官邸で開かれ、岸田総理大臣は、新型コロナ対策について「この冬のインフルエンザとの同時流行に備えるため、外来などの保健医療体制のさらなる拡充や、オミクロン株に対応したワクチン接種の最大限の加速が必要となる。都道府県の協力が不可欠だ」と述べ、ワクチン接種の加速に向けた協力を求めました。

これに対して、全国知事会の会長を務める鳥取県の平井知事は「第8波に入り始めていると認識をせざるをえない状況だ。ワクチン接種を、国と地方が協力してやっていかなければならない」と応じました。