国家公務員給与 年5万5000円増を勧告 人事院 民間給与回復で

国家公務員の今年度の給与について、人事院は月給を平均で0.23%、ボーナスを0.1か月分、それぞれ引き上げるよう国会と内閣に勧告しました。コロナ禍で落ち込んだ民間企業の給与水準が回復していることを踏まえたもので、引き上げの勧告は3年ぶりです。

人事院の川本総裁は8月8日総理大臣官邸で、岸田総理大臣に対し、今年度の国家公務員の給与改定に関する勧告を行いました。

この中では、コロナ禍で落ち込んでいた民間企業の給与水準が回復していることを踏まえ、月給とボーナスをいずれも引き上げるよう勧告しています。

引き上げの勧告は3年ぶりです。

このうち月給は、平均で0.23%、額にして921円の引き上げを求めていますが、すべての世代ではなく、30代半ばまでの若年層に限るとしています。

特に初任給は、国家公務員志望者の減少傾向を食い止めるため、およそ30年ぶりの引き上げ幅となり、総合職と大卒の一般職の初任給を3000円、高卒の一般職の初任給を4000円引き上げるとしています。

一方ボーナスは、すべての世代を対象に0.1か月分引き上げ、年間で4.4か月分とするよう勧告しています。

今回の勧告どおり引き上げられれば、国家公務員の平均年収は、行政職で5万5000円増え、666万円となります。

大手企業 夏のボーナス 平均89万9163円

大手企業のことし夏のボーナスは、従業員1人当たりの平均で89万9163円と、前の年より8%余り増えたことが経団連の調査で分かりました。コロナ禍で落ち込んだ企業業績の回復を受けて4年ぶりにプラスに転じ、この40年余りで最大の伸び率となりました。

経団連は、従業員500人以上の大手企業159社のことし夏のボーナスの妥結状況を取りまとめ、5日、最終的な集計を公表しました。

それによりますと従業員1人当たりのボーナスの平均は89万9163円で、前の年より7万2516円、率にして8%余り増えました。

コロナ禍で落ち込んだ企業業績の回復を受けて4年ぶりにプラスに転じ、今の方法で集計を始めた1981年以降で最大の伸び率だということです。

業種別にみると、18業種のうち「鉄鋼」や「印刷」、「機械金属」など15の業種でプラスとなり、前の年の7業種を大きく上回りました。

経団連の新田秀司労働政策本部長は「ここ数年はコロナ禍などで夏のボーナスは軒並み減少したが、ことし一気に反転した。金額はコロナ禍前の水準に届いていないものの、賃金引き上げの勢いは維持されているのではないか」と述べました。