日米首脳会談でアメリカ主導の新経済連携「IPEF」参加表明へ

5月23日に予定されている日米首脳会談で岸田総理大臣は、アメリカが主導して立ち上げを目指す新たな経済連携「IPEF(インド太平洋経済枠組み)」に参加を表明する方向で調整を進めることになりました。

アメリカのバイデン政権は日本が参加するTPP=環太平洋パートナーシップ協定への復帰に否定的な姿勢をとる一方、新たな経済連携「IPEF(インド太平洋経済枠組み)」をことしの早い時期に立ち上げると表明しています。

政府関係者によりますと、5月23日に予定されている日米首脳会談でバイデン大統領からIPEFの正式な発足が表明され、これに応じて岸田総理大臣も日本の参加を伝える方向で調整を進めているということです。

IPEFでは半導体などのサプライチェーン・供給網の強化や質の高いインフラへの投資などでの協力が想定される一方、現時点ではTPPのような関税の引き下げは対象になっておらず、岸田総理大臣はTPPへのアメリカの復帰も引き続き粘り強く働きかけていく方針です。

日米首脳会談では中国がレアアースなどの重要資源の確保を国策で強化していることを念頭に、重要資源の安定的な供給の在り方をめぐっても意見が交わされる見通しです。

米商務長官 IPEF発足表明の見通し明らかに

アメリカのレモンド商務長官は、バイデン大統領が来週日本を訪問する際に中国への対抗を念頭に立ち上げを目指しているIPEFの発足を表明する見通しを明らかにし、多くの国の参加に期待を示しました。

IPEFはアメリカのバイデン政権がこの地域で影響力を拡大する中国への対抗を念頭に立ち上げを目指す経済連携で、サプライチェーンやデジタル貿易などの分野で共通のルールをつくる構想です。

レモンド商務長官は17日の電話会見で「日本を訪問する時に大統領と一緒にこの枠組みを立ち上げる予定だ」と述べ、バイデン大統領が来週日本を訪問する際にIPEFの発足を正式に表明する見通しを明らかにしました。

さらに「アメリカとこの地域のパートナーは国民と経済、そしてサプライチェーンの在り方を決定づける分野に焦点をあてるべきだという認識を持っている」と述べ、新たな枠組みに多くの国が参加することに期待を示しました。

IPEFをめぐっては中国との経済的なつながりなどから参加に慎重な姿勢を示している国もあるとされ、参加国がどこまで広がりを見せるかや実効性のある枠組みにできるかが焦点になりそうです。