千葉 熊谷知事 学校でのコロナ対策 独自に緩和する方針発表

千葉県の熊谷知事は学校での新型コロナウイルスの感染対策について、これまで行ってきた学習や行事などの制限を独自に緩和することを明らかにしました。

千葉県の熊谷知事は14日の記者会見で、県内の学校で児童や生徒の学習機会を必要以上に失うことがないよう、学習や行事などの制限を緩和すると発表しました。
具体的にはこれまで自粛されてきたグループ学習や実技や実習、それに校外学習は基本的に実施し、修学旅行についても訪問先の感染状況に留意して実施できるとしています。
また入学式や卒業式などの式典は参加者の人数制限を行わず保護者なども参加して実施することにしています。
さらに給食や昼食の際、飛沫を防ぐ対策をして会話をしなければ、机を向かい合わせにしてもいいなどとしています。
一方、マスクの着用や換気などの基本的な感染対策は引き続き徹底するとしていて、千葉県教育委員会はこうした方針を県立学校や市町村の教育委員会に通知することにしています。
熊谷知事は会見で「子どもたちの大切な思い出となる機会を奪わないよう多様な教育活動の実現に、一歩踏み出してほしい。学校でこれまでの感染対策のレベルを下げずに柔軟に対応してほしい」と述べました。

ツイッターで発信

学校での新型コロナウイルス対策について千葉県の熊谷知事は自身のツイッターで見直しが必要だと発信していました。
今月8日のツイートでは、現在、スポーツのイベントでは定員まで収容できる一方、学校などの行事や式典では1席空けて座り、当事者以外の出席者が制限されていることを指摘したうえで、「バランスを欠く状況に社会全体で見直しが必要な時期です」と書き込みました。
そして「各部署においてコロナ当初から惰性で続けている対応は無いか、点検することを指示しました。疫学上効果が無く、何かが犠牲になっているものの見直し機運を高めていきます」と発信しました。
知事の一連の投稿に対してあわせて4000件近い反応があり、特に教育現場での対策についてのコメントが多く見られました。
このなかでは「学校での過剰なコロナ対策、緩和していくとのことで本当に期待しています」など、賛同する意見があった一方、「楽観論やめてください」といった反対する意見もありました。

専門家「対策少しずつ変えていくことが大事」

厚生労働省の専門家会合のメンバーで国際医療福祉大学の和田耕治教授は「入学式ではマスクをしていれば感染対策ができているので保護者も参加できる。新型コロナへの対策が2年以上にわたるなかで、子どもたちへの心理的な影響が大きくなってきている。子どもたちにとって何が大事なのか考えて対策を少しずつ変えていくことが大事だ」と話しています。

学校現場では

今回の千葉県の制限緩和では給食の際、感染対策をすれば机を向かい合わせにしてもいいなどとしていますが、すでに同様の対応をとっている中学校があります。
柏市の県立東葛飾中学校では給食の際、向かい合って座る一方、飛沫が飛ばないように仕切りを設置したうえで会話をしないで食事をとるようにしてきました。
さらに食事前の手洗いを呼びかける貼り紙を掲示したり、食事の際マスクを外す時間をなるべく短くしたりして、感染対策を徹底しています。
この中学校ではこれまでに新型コロナウイルスの集団感染は起きていないということです。
3年生の女子生徒は「給食の時、仕切りがあることで安心できます。いつもはマスクをしていてクラスメイトの表情も分からないけど、目と目が合って笑顔を見ることができて、楽しむことができています」と話していました。
一方、別の女子生徒は「対面だと少しくらい話をしてもいいかなと油断してしまうこともあります」と話していました。
東葛飾中学校の篠木賢正校長は「子どもたちの活動の制限が緩和されることは大変うれしく思っている。これまで様々なことを我慢してきた子どもたちのためにも、引き続きしっかり感染対策を実施していきたい」と話していました。