石原慎太郎氏 最後の原稿
「死への道程」

芥川賞作家で東京都知事などを務め、先月1日に亡くなった石原慎太郎氏が余命宣告を受けて書いた原稿が出版社に託されていたことが分かり、死に対し揺れ動く心境がつづられています。

原稿は石原氏が亡くなったあとの先月中旬、4男の延啓氏が出版の文藝春秋に託しました。

この中で石原氏は去年10月に医師から、すい臓がんが再発し余命3か月程度だと宣告され、「以来、私の神経は引き裂かれたと言うほかない」とつづっています。

そのうえで、「私の文学の主題でもあった『死』はより身近なものとなりおおせた。死は放り出したくなるような矮小なものに堕してしまった」と表現しています。

また石原氏は宣告されたすい臓がんによる死に対し、「事ここに及んで私が神仏に縋(すが)ることは、その苦しみだけはなんとか軽減して貰えまいかと言う事だけだ」と記しています。

そして芥川賞を受賞した「太陽の季節」にちなんで、「いつかは沈む太陽だから」としたうえで、「私は誰はばかりもなく完璧に死んでみせる。私自身の死を私自身の手で慈しみながら死にたいものだ」と、余命宣告を受けて揺れ動く心境がつづられています。

この原稿は「死への道程」と題され、10日発売の月刊誌「文藝春秋」4月号に掲載されます。