ロシア抑止力特別警戒態勢に
長崎・広島市長が抗議文

ロシアのプーチン大統領が核戦力を念頭に、抑止力を特別警戒態勢に引き上げるよう命じたことなどを受けて長崎市の田上市長は、広島市の松井市長と連名で在日ロシア大使館あてに抗議文を送ったことを明らかにしたうえで、「核兵器が存在することの危険性を世界中で共有し、今なお続く問題だというメッセージを発する必要がある」と述べました。

長崎市の田上市長は、広島市の松井市長と連名で2月28日付けで在日ロシア大使館あてに抗議文を送りました。

抗議文では、ロシアがウクライナ侵攻に踏み切り、核兵器の使用を示唆したことについて厳重に抗議するとしたうえで、「この行為は、『世界中の誰にも2度と同じ体験をさせてはならない』と懸命に訴えてきた被爆者の切なる思いを踏みにじるものであり、強い憤りを感じている。広島、長崎に続く第3の戦争被爆地を生むことは絶対にあってはならない」としています。

田上市長は28日夜、報道陣の取材に応じ、「3つ目の被爆地をつくることは許されないというのは、被爆地だけでなく、世界中の人々の意思でもあると思う。核兵器があるかぎり、使用されるリスクは消えないということを強く感じた」と述べました。

そのうえで「核兵器が存在することの危険性を世界中で共有し、今なお続く問題だというメッセージを発する必要がある」と訴えました。

広島でウクライナ人が抗議活動

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて広島市では県内に住むウクライナ人など10人余りが集まって抗議活動を行い「戦争反対」などと声をあげました。

この抗議活動は、広島市内に住むウクライナ人のホーチナ・アナスタシアさんたちが呼びかけて行われ、1日午前、広島市の原爆ドームの前には、県内に住むウクライナ人など10人余りが集まりました。

参加した人たちは雨が降る中「戦争をやめろ」とか「ロシア軍の攻撃を止めなければならない」などと日本語や英語で書かれたプラカードを掲げ、ウクライナの国歌を歌いました。

そして、参加者全員で、ウクライナ語や日本語、それにロシア語を使って「戦争反対」などと訴えました。

呼びかけ人の1人のホーチナ・アナスタシアさん(38)は、ウクライナ中部に家族を残しているということで「家族とは1日に何回も連絡を取って無事を確認している。広島の人や世界の人たちに絶対に戦争をしたくないという気持ちを伝えたい。平和が最も大切で、人の命を奪うのは絶対にいけません」と話していました。

広島市議会 攻撃停止や完全撤退など求める決議採択

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて広島市議会は、侵攻に厳重に抗議するとともに攻撃の停止やウクライナからの完全撤退などを求める決議を全会一致で採択しました。

広島市議会では1日、本会議が開かれ、冒頭、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で犠牲となった人に黙とうがささげられました。

このあと本会議では、攻撃の停止やウクライナからの完全撤退などを求める決議案の採決が行われ全会一致で可決しました。

決議では「明らかにウクライナの主権および領土の一体性を侵害し武力の行使を禁ずる国連憲章の重大な違反であり国際秩序の根幹を揺るがすもので、断じて容認できない」としています。

そのうえで、プーチン大統領が核兵器の使用を示唆するような発言をしていることについて「核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を願うヒロシマの心を踏みにじるもので強い憤りを覚える」と批判し、軍事侵攻とプーチン大統領の発言に対し、厳重に抗議するとしています。

そして、ロシアには軍による攻撃を停止しウクライナから完全撤退をすること、関係国の政府には一日も早い平和的解決に向けた外交努力を行うことを強く求めています。