“トンガに100万ドル以上”
世界から支援の動きも

南太平洋のトンガ付近で発生した大規模な火山の噴火を受けて、磯崎官房副長官は記者会見で、現地の復旧・復興を支援するためトンガに対し、100万ドル以上の緊急無償資金協力を実施することを明らかにしました。

この中で磯崎官房副長官は、「多くのトンガ国民が被災し、甚大な被害が出ている。復旧・復興のためにできるかぎりの支援を行う」と述べ、トンガに対し、100万ドル以上の緊急無償資金協力を実施することを明らかにしました。

また磯崎副長官は、資金協力に加えて緊急援助物資として飲料水や火山灰撤去のための用具などを供与する方向で調整しており、輸送にあたっては、国際緊急援助隊として派遣される自衛隊の活用を検討していると説明しました。

そのうえで、「日本政府はオーストラリアやニュージーランドといった関係国とこれまでも現状把握に向けた情報の共有やトンガの早期の復旧・復興に向けた各種支援の調整を緊密に行ってきており、引き続き連携していく」と述べました。

“トンガへ最大限の支援を”超党派の議員連盟が政府に申し入れ

南太平洋のトンガ付近で発生した大規模な火山の噴火を受けて、トンガとの親善に取り組む議員連盟は、被害状況を速やかに把握し、人道支援や災害復旧など、最大限の支援を行うよう政府に申し入れました。

トンガなどとの友好親善に取り組む2つの超党派の議員連盟は19日、幹部が総理大臣官邸で松野官房長官と面会して、緊急の要請を行いました。

議員連盟の幹部は、今回の噴火で交通や通信インフラの障害に加え、火山灰などによる住民生活への影響が長期化する懸念があると指摘しました。

そのうえで、現地の被害状況を速やかに把握し、関係国と連携して人道支援や災害復旧など、最大限の支援を行うよう申し入れました。

これに対し、松野官房長官は「トンガからも支援要請が来ており、しっかり応えたい」と話しました。

面会のあと、自民党の古屋政務調査会長代行は、「日本からアクションを起こすことが極めて重要で、人道支援はプッシュ型で速やかに行うべきだ」と述べました。

トンガ噴火 支援物資が現地へ 東京五輪旗手も支援呼びかけ

南太平洋のトンガ付近で発生した大規模な火山の噴火について、ニュージーランドは支援物資などを載せた軍艦を現地に向けて派遣しました。一方、現地の空港の滑走路では火山灰の除去作業が進められていて、各国が空路での支援物資の輸送に向け準備を急いでいます。

今月15日にトンガ付近で発生した大規模な火山の噴火について、トンガ政府は18日夜、3人が死亡し、多くのけが人が出たほか、島々で家屋が倒壊するなどの被害が出ていると発表しました。

現地では火山灰や、津波で流れ込んだ海水の影響で生活用水の確保が困難になり、特に飲料水の支援が急務だと伝えられています。

こうした中、ニュージーランドは18日、支援にあたる人員やヘリコプター、それに飲料水などの支援物資を載せた軍艦2隻をトンガに向けて派遣し、21日には現地に到着する見込みだということです。

また、現地の空港の滑走路では火山灰の除去作業が進められていて、オーストラリアとニュージーランドは、空路での支援物資の輸送に向け準備を急いでいます。

一方、トンガは、新型コロナウイルスの厳しい水際対策を続けていることから、国外からの支援と感染対策をどのように両立するかが課題で、関係国や国際機関と、トンガ政府との協議が進められる見通しです。

オーストラリアのモリソン首相は19日、トンガのフアカヴァメイリク首相と電話会談を行ったことを自身のフェイスブックで明らかにしました。

この中で、モリソン首相は「オーストラリアはトンガに協力していくと伝えた。首相からは、トンガの通信システムやインフラが受けた深刻な被害について説明を受けた」としています。

国際電話のサービスが復旧

トンガで携帯電話事業を展開する「デジセル」は、19日、国際電話のサービスが復旧したとする声明をホームページで公表しました。

この会社は、国内での通話についても、首都ヌクアロファがあるトンガタプ島で、18日までに復旧したと発表していました。

国外との通話が復旧することで、安否がわからなかった人たちとの連絡や、詳しい被害状況の把握につながることが期待されます。

東京五輪 トンガ代表の旗手 支援を呼びかけ

東京オリンピックなどの開会式でトンガ代表の旗手として上半身裸の民族衣装を身にまとって行進し、話題を呼んだピタ・タウファトファ選手がNHKの取材にオンラインで応じました。

現在オーストラリアにいるタウファトファ選手は、トンガに住む家族と連絡が取れないということで「今回の災害で最もつらいことは、現地との連絡が完全に遮断されていることだ。どれほど被害が出ているのか分からず、とても不安に感じている。物資を送ることも、現地からの情報を得ることも、とても難しく絶望的な状況だ」と述べました。

そうした中でも、タウファトファ選手は、トンガへの寄付を募るクラウドファンディングを立ち上げていて、19日夕方の時点で日本円で3500万円を超える寄付が集まっています。

日本人からも寄付が寄せられているということで「日本人も過去に津波で大惨事を経験しているので、私たちの窮状を理解してくれていると思う。日本人からもらった寄付やメッセージに心の底から感謝している」と述べました。

そして「人々が何を必要としているのか見極める必要があるが、できるだけ多くの資金を集めたい」と述べ、母国への支援を呼びかけました。

タウファトファ選手は、テコンドーで2016年夏のリオデジャネイロ大会と去年夏の東京大会、それにスキークロスカントリーで2018年冬のピョンチャン大会に出場しました。