生活保護費引き下げ訴訟
3地裁の判決に同じ誤字

生活保護費が平成25年から段階的に引き下げられたのは最低限度の生活を保障した憲法に違反するなどとして、兵庫県の受給者らが自治体を訴えた裁判で、神戸地方裁判所は16日「引き下げの判断は不合理なものとはいえない」などとして、訴えを退けました。

生活保護の支給額の引き下げをめぐる集団訴訟では、16日の神戸地方裁判所を含め7つの地方裁判所で判決が言い渡されていますが、原告の弁護団によりますと、このうち3つの判決で同じ誤字があったことがわかりました。

同じ誤字があったのは、
▽ことし5月に言い渡された福岡地方裁判所の判決と、
▽9月の京都地方裁判所の判決、
▽11月の金沢地方裁判所の判決です。

いずれの判決でも、生活保護の支給額の引き下げの根拠としたデータに関する部分で「NHK受信料」の「信」の漢字を、診察や診療の「診」と誤って記載していました。

誤字に気付いた、大阪の集団訴訟の弁護団の小久保哲郎弁護士は、3つの判決では誤字の前後の文章も似通った言い回しや表現が多いとしたうえで「訴えを棄却するという結論が先にありきで、以前の判決と見比べて、自分の頭で考えずに写したのだと思う。3人の裁判官と書記官がチェックしているはずで、こんな簡単な誤字くらい本来は気付いて当たり前だと思う。お粗末すぎて、裁判所は大丈夫なのかと心配になる」と話しています。

また、神戸の集団訴訟の弁護団の藤原精吾弁護士は「一部の文章を写しているというよりも、判決全体を写している印象だ。すべて右へならえの判決になってしまっている。裁判官は独立していないといけないのに、これでは独立しているとは全く言えず、速やかに独立してほしい」と話しています。

最高裁「調査は考えていない」

最高裁判所は「個別の裁判の内容については回答できない。今後も最高裁として調査することは考えていない」としています。