住所と違う自治体でも接種
可能に 4自治体協定 宮城

宮城県の4つの自治体は、住所と違う市や町でも新型コロナウイルスワクチンの接種を受けられるよう連携協定を結び、27日高齢者を対象とした接種を始めました。

富谷市と大和町、大郷町、それに大衡村の4つの自治体にあるおよそ20の医療機関では27日から高齢者向けのワクチン接種が始まりました。

このうち、大和町にある公立黒川病院では、あらかじめ予約があった80歳以上のお年寄り10人が訪れ、医師の問診を受けた後注射を受けていました。

夫と訪れた大和町の82歳の女性は「接種して安心しました。看護師の孫から『ワクチン接種しても注意してね』と言われているので、油断せずに過ごそうと思います」と話していました。

4つの自治体は先月、宮城県内で唯一となる連携協定を結び、住所と違う自治体の医療機関でも接種を受けられるようにしました。

大郷町と大衡村には接種できる医療機関が診療所1つしかないため、連携協定によって住民の利便性を高めるねらいがあります。

また市町村ごとに割り当てられるワクチンについても4つの自治体で融通し合って、効率的に接種を進めるということです。

公立黒川病院の内科医、南家俊介医師(53)は「患者を住所で区別する必要がなくなり効率的になった。予約のキャンセルが出てワクチンが余った時も別の患者に声がけしやすく、廃棄せずむだを少なくできる」と話していました。

広域接種のメリットは

個別接種が始まった4つの市町村のうち大郷町と大衡村には接種できる医療機関がそれぞれ診療所1つしかありません。このため広域接種のメリットは大きいといいます。

このうち大郷町では、町内唯一の接種会場となる診療所に予約が集中すると、通常の診療に影響が出る不安があったといいます。

また、町内に住む人の中には隣り合っている大和町や富谷市の医療機関にふだんから通っている人も多いということで、町民にとっても便利になるとしています。

大郷町の保健福祉課の鎌田光一課長は「4市町村合同で行えば診療所の負担軽減になる。市町村ごとに配られるワクチンについても融通が利くので、臨機応援に対応できる」と話していました。