ミャンマー制裁は実施せずも
新規ODAを見送る方針

ミャンマーで軍の市民に対する暴力が強まり、アメリカやEUが制裁を科す中、日本政府は制裁は実施しない一方、ODAの新規供与を当面、見送る方針で、経済的な影響力も背景に軍との意思疎通を続け、民間人への暴力を停止するよう強く求めていく方針です。

ミャンマー情勢をめぐっては、軍のクーデターに抗議する市民に治安部隊が発砲を繰り返し、死傷者が増え続けていて、アメリカ、イギリス、カナダの3か国とEU=ヨーロッパ連合が軍関係者の資産凍結などの制裁を科しています。

事態の悪化を受けて自民党の外交部会などは30日、政府に対し、ミャンマーへの経済協力や防衛協力の在り方は事態の推移などを見極めながら対応を検討するべきだとして、新規のODA=政府開発援助の供与は特に慎重を期すよう求める決議案をまとめました。

茂木外務大臣も「日本はミャンマーに対する最大の経済援助国だ。日本は『新規の案件はない』という明確な立場だ」と述べていて、政府はミャンマーに対する制裁は実施しない一方、ODAの新規供与を当面、見送る方針です。

ミャンマーに対する新規ODAは、無償と有償資金協力などをあわせると昨年度=2019年度で2000億円近くに上っていることから、政府は欧米各国が行っている制裁よりも影響は大きいとみていて、粘り強く軍との意思疎通を続け、民間人への暴力の停止や民主的な体制の回復を強く求めていくことにしています。