東海第二原発 再稼働認めぬ
判決 全国の避難計画影響も

茨城県にある日本原子力発電の東海第二原子力発電所について、18日、水戸地方裁判所が避難計画の不備を理由に再稼働を認めない判決を言い渡しました。原発の避難計画は他の地域でも実効性に課題があるとの指摘があり、今後、影響が広がる可能性があります。

原発から30キロ圏内の自治体は広域避難計画の策定が義務づけられていて、東海第二原発の場合、94万人が対象となります。

この原発をめぐって住民が安全対策に問題があるなどと訴えていた裁判の判決で、水戸地方裁判所は18日、避難計画の不備を理由に再稼働を認めませんでした。

判決では、具体的に避難の際、渋滞が発生するおそれがあるとしたほか、地震などに備えた複数の避難経路の設定や汚染を調べるための検査の人員や資機材の確保などに課題があると指摘しました。

原発の避難計画をめぐっては、ほかの地域でも地震や津波で計画した避難経路が使えないおそれがあるといった課題が指摘されていて、今後、全国の原発が立地する自治体や地域に影響が広がる可能性があります。

この判決について、日本原子力発電は「主張を理解いただけず、承服できない」などとして19日にも控訴する考えを示しています。

専門家 避難の実効性高めることが大切

原子力防災に詳しい福井大学の安田仲宏教授は「これまで原発をめぐる裁判では、原子力施設の備えや対策について議論がされてきたが、今回は人口100万近い地域の防災対策に課題があると指摘した」と話し、従来の原発をめぐる裁判とは違い、行政の防災対策の問題を指摘したことに意味があるとしました。

そのうえで、「国や自治体の立場からすると最初から100点満点の避難計画を目指そうとしていると思うが、それはとても難しいことだ。まずは避難計画の全体的な大枠を示しつつ、具体的な中身は地域ごとに埋めていくような議論を進めていくべきだ」などと自治体などは実行可能な対策から準備を進め避難の実効性を高めることが大切だと指摘しています。