6月 訪日外国人旅行者
去年同月比99.9%減

先月、日本を訪れた外国人旅行者は、新型コロナウイルスの影響で推計で2600人にとどまり、去年の同じ月と比べて99.9%減少しました。旅行者数が99.9%減少するのは3か月連続で、記録的な落ち込みが続いています。

日本政府観光局によりますと、先月、日本を訪れた外国人旅行者は推計で2600人にとどまり、288万人だった去年の同じ月と比べて99.9%減りました。

外国人旅行者数が3000人を下回り、減少幅が99.9%となるのは3か月連続で、記録的な落ち込みが続いています。

国と地域別の推計では、中国が300人、韓国、ベトナム、アメリカが100人でした。

シンガポールや、メキシコ、イタリアなどでは10人を下回りました。

この統計には、観光客のほかにも留学生や技能実習生も含まれていて、6月の推計値は、もともと日本に住んでいた外国人が再入国したケースがほとんどとみられます。

外国人旅行者が減少しているのは、新型コロナウイルスの感染防止対策で、政府が129の国と地域の外国人の入国を拒否するなど、引き続き厳しい水際対策をとっているためで、日本を訪れる外国人旅行者が回復する見通しは、今のところ立っていません。

観光庁長官「観光客の流れを段階的に拡大する必要」

観光庁の田端浩長官は外国人旅行者の記録的な落ち込みが続いていることについて15日の記者会見で、「国内の観光関連産業は、外国人旅行者の大幅な減少に加えて、日本人旅行者による旅行控えの長期化や外出の自粛の影響を受け、極めて厳しい状況に置かれている。今後、感染予防対策をしっかり実行しながら、感染の状況や専門家の意見も踏まえて観光客の流れを段階的に拡大していく必要があると考えている」と述べました。

落ち込みの背景に水際対策強化

外国人旅行者のかつてない落ち込みが続く背景には、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府が段階的に水際対策を強化したことがあります。

日本政府は、ことし2月に中国 湖北省に滞在歴などがある外国人の入国を拒否して以降、ヨーロッパやアメリカなど順次、水際対策を強化し、現在は世界129の国と地域からの入国を拒否しています。

また入国拒否の対象になっていないほかの国や地域からの入国者に対しては、指定場所での2週間の待機を要請しています。

こうした措置を受けて航空各社では大幅な運休や減便を続けています。

国土交通省によりますと海外と日本を結ぶ国際線は今月12日からの1週間ではおよそ270往復で、去年の夏ダイヤの1週間当たり5500往復余りと比べると20分の1にまで激減しています。

入国制限をめぐっては、政府は感染状況が落ち着いている国や地域からの入国を段階的に認める方針です。

このうちベトナムとは先月25日からビジネス関係者らに限った臨時便の運航が始まったほか、中国や韓国、台湾などについても、政府は今後、協議を開始する方針です。

またヨーロッパやアメリカなどについても企業経営者らを対象に、短期間で少人数に限定し、PCR検査の実施などを条件に入国を認める方向です。