ロナ財政厳しく 子ども
医療の拡充見送る 茨木

大阪 茨木市は、新型コロナウイルスの対応に当たる中で、財政状況が厳しさを増しているとして当初、導入を予定していた子どもの医療費の無償化対象を拡充する事業を見送りました。

茨木市議会で26日に可決・成立した補正予算には当初、子どもの医療費を無償とする対象を、現在の15歳までから18歳までに拡充する事業として1億円余りが盛り込まれる予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で、想定外の支出が増えたとして見送られました。

一方、感染拡大を受けて患者対応に当たった医療機関の支援や、小規模事業者の家賃支援などが盛り込まれています。

財源として、自治体の貯金に当たる財政調整基金から20億円余りを取り崩していて、これは取り崩す前の残高の4分の1に当たります。

新型コロナウイルスの影響で、税収の落ち込みも想定される中、今後の財政運営は難しいかじ取りを求められることになりそうです。

茨木市の福岡洋一市長は「未来への投資と、目の前で困っている方々への支援のバランスには悩むが、今回は困っている人への支援にかじを切った。医療費の助成は今後、考えたい」と話しています。

専門家「将来見据えた事業に活用を」

地方財政に詳しい大阪大学法学部の赤井伸郎教授は財政調整基金の
取り崩しについて、「財政調整基金は、今回のように災害に近い形で非常事態が起きたときに使うためのもので、ふだんから基金を積んで備えておくべきだ」と述べて、取り崩し自体は正しい対応だと指摘しました。

そのうえで、「次の感染拡大が起きると財政調整基金が足りなくなるという心配があるかもしれない。単に影響の穴埋めに使うような
事業を行っていると、次回、同じような支出が必要になってしまうので、経済のショックを少しでも緩和させるような、将来を見据えた事業に基金を活用することが大切だ」と述べました。

税収の減少も想定されることについては「危機的な状況で、住民の生活がかかっているので、国が交付税で配分してあげるほかない。
ただ、落ち着いた段階で財政再建に向けて努力することが前提になる」と話しました。