10万円 DV被害者に
届くのか

5月から給付が始まる現金10万円はすべての人に行き渡るのか。
懸念されていたのがDV=ドメスティックバイオレンスの被害を受け世帯主から避難している親子などのケースです。

現金10万円の一律給付は原則、世帯主が申請を行い、世帯主名義の口座に家族分がまとめて振り込まれる仕組みになっています。

しかし、国は、DVの被害を受けて世帯主から避難している親子などは、住民票を移していなくても、必要な手続きをとったうえで現在住んでいる自治体に申請すれば世帯主とは別に給付金を受け取ることができるとしています。

懸念1 DV被害の書類

当初、懸念されていたのが申請の際に必要なDV被害を受けたことを示す書類の提出です。

都内の支援団体には、「自治体などに相談したことがなく、証明書などの発行を受けていないので受給できるか心配だ」などという相談が寄せられていたということですが、総務省は、DV被害の相談をした事実が確認できれば、婦人相談所や自治体のほか、民間の支援団体でも申請に必要な書類を発行することを認め、柔軟に対応するとしています。

懸念2 申請期間

また、国は自治体への申請期間を4月30日までとしていて、申請が間に合わずに世帯主に給付金が渡ってしまう可能性も指摘されていました。

これについて総務省は、期間を過ぎた来月以降も引き続き申請を受け付けるとしていて、すでに被害者の分の給付金が世帯主に支払われてしまった場合でも、別に給付金を支給し、二重に給付した分は世帯主に返還を求めるとしています。

懸念3 同居中の被害者

一方、懸念が残されているのが、避難できず世帯主と同居しているDV被害者への支給です。

支援団体によりますと、新型コロナウイルスの影響で加害者の夫が在宅勤務になったり、引っ越しの費用が捻出できないなどの理由で避難できないまま同居を続ける被害者も多いということです。

こうした被害者は家庭内で経済的にも搾取されているケースが多く、生活費が足りずに夫に隠れて借金をしている人もいるということで、支援団体には「パートの仕事がなくなって借金が返せない」といった切実な相談も寄せられているということです。

このため、支援団体は同居している被害者にも申請を認め、世帯主とは別の口座に給付金が届くようにすることや、支給後に想定されるトラブルにも対応できるよう支援体制を整えることを国に求める要望書を提出しました。

支援団体「エープラス」の吉祥眞佐緒代表理事は「国に要望した結果、給付金の対象となるDV被害者の範囲がだいぶ広がってきたので少し安どしている。しかし、事実上、支給の対象になっていない同居中の被害者も多く、経済的に困窮している実態もあるが、感染拡大の中で『自分だけ逃げたいというのはわがままなのではないか』とみずからを責めがちだ。こうした人たちも10万円が届くようにしてほしい」と話しています。