作権法改正案を閣議決定
海賊版サイトの対策強化

インターネット上の「海賊版サイト」の対策を強化するため、政府は10日の閣議で、違法なダウンロードの対象範囲をすべての著作物に拡大する一方、数十ページの漫画の数コマといった「軽微なもの」などは対象外とする著作権法の改正案を決定しました。

「海賊版サイト」の対策強化をめぐって、政府は去年、違法なダウンロードの対象範囲を拡大する著作権法の改正案をまとめましたが、内容が厳しすぎて、国民の理解が十分に得られていないといった指摘が出され、国会への提出を見送りました。

これを踏まえ、政府は10日の閣議で違法なダウンロードの対象範囲を音楽や映像だけでなく、漫画や書籍、論文など、すべての著作物に拡大する一方、利用者の萎縮を避けるため、規制対象の除外を設けた著作権法の改正案を決定しました。

具体的には違法にアップロードされたことを知りながら、ダウンロードする場合のみを規制の対象としたうえで、画像を保存する「スクリーンショット」で違法な画像が写り込んだ場合や、数十ページの漫画の数コマといった「軽微なもの」、それに、権利者の利益を不当に害しない「特別な事情がある場合」などは対象外とするとしています。

改正案には「海賊版サイト」に利用者を誘導する「リーチサイト」を規制する内容も盛り込まれており、政府は今の国会に改正案を提出し、成立を目指すことにしています。

萩生田文科相「バランスとれた内容」

萩生田文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で「昨年、提出が見送りになった経緯があるが、その後、パブリックコメントなどを通じて国民の声を丁寧に聞きながら検討を重ね、必要な修正を行った。これにより、海賊版対策としての実効性の確保と国民の正当な情報収集等の萎縮防止のバランスがとれた内容になったと考えている。国民の皆さんの不安や懸念を払拭(ふっしょく)できるよう、丁寧な情報発信を行うとともに、今後も専門家などが集まって意見交換を継続的に行う場を設け、普及啓発や効果検証にしっかり取り組みたい」と述べました。