治資金パーティー収入
95%が“匿名”

総務省が29日公表した、国会議員が関係する政治団体の去年の政治資金収支報告書をNHKが調べたところ、政治資金パーティーの収入が合わせて60億円余りに上り、このうち購入者の名前などを収支報告書に記載する必要がない、1回20万円以下の購入者が95%を占めたことがわかりました。専門家は「政治資金パーティーは透明性が低く、企業献金の抜け道となっているのではないか」と指摘しています。

NHKは、総務省が公表した去年の政治資金収支報告書のうち、当時の国会議員398人が関係する562の政治団体について収入の内訳などを調べました。

このうち政治資金パーティーの収入は合わせて60億5400万円余りで経費を差し引いた収益はおよそ48億円でした。

一方、個人や企業などからの寄付による収入は合わせて32億8400万円余りで、政治資金パーティーの収益が寄付による収入のおよそ1.5倍に上りました。

政治資金規正法では、寄付の場合、年間5万円を超えれば、収支報告書に寄付した人の名前や住所、金額などを記載する必要がありますが、パーティー券では1回の購入額が20万円を超えた場合に、名前や住所などを記載することになっています。

それぞれについて調べたところ、寄付のうち、個人からの寄付では、名前などが記載されていないものは全体の5%でした。

一方、パーティー券の収入では、購入者の名前など記載する必要がない1回当たり20万円以下のものが全体の95%を占めました。

政治資金に詳しい日本大学の岩井奉信教授は「政治家の最大の資金源になっている政治資金パーティーは、透明性が低く、企業献金の抜け道となっているのではないか」としたうえで、「有権者の理解を得られるよう、透明性を高めるための制度改革の議論が必要だ」と話しています。

収益が多かった上位10団体

総務省が公表した去年の政治資金収支報告書のうち、当時の国会議員398人が関係する562の政治団体について調べたところ、政治資金パーティーの収入は合わせて60億5400万円余り、経費を差し引いた収益はおよそ48億円でした。

このうち収益が多かった上位10団体は次のとおりです。

▽1位、岸田文雄自民党政務調査会長 自民・衆議院議員 資金管理団体「新政治経済研究会」1億231万9408円、

▽2位、西村康稔経済再生担当大臣 自民・衆議院議員 資金管理団体「総合政策研究会」8529万4060円、

▽3位、遠藤利明元オリンピック・パラリンピック担当大臣 自民・衆議院議員 資金管理団体「新風会」8354万7132円、

▽4位、林芳正元文部科学大臣 自民・参議院議員 資金管理団体「林芳正を支える会」7471万333円、

▽5位、茂木敏充外務大臣 自民・衆議院議員 資金管理団体「茂木敏充政策研究会」7384万6333円、

▽6位、伊吹文明元衆議院議長 自民・衆議院議員 資金管理団体「明風会」7042万5519円、

▽7位、岡田克也元外務大臣 無所属・衆議院議員 資金管理団体「岡田かつや後援会」7018万6370円、

▽8位、武田良太国家公安委員長 自民・衆議院議員 資金管理団体「武田良太政経研究会」6852万5670円、

▽9位、佐藤信秋 自民・参議院議員 政党支部「自由民主党東京都参議院比例区第五十五支部」6639万5951円、

▽10位、安倍晋三内閣総理大臣 自民・衆議院議員 資金管理団体「晋和会」6431万6409円