活ルール 政府案了承
罰則なく実効性に課題も

いわゆる「就活ルール」をめぐって、政府は経団連と大学の関係者を交えた会議で、2021年春に入社する今の大学2年生の採用面接の開始時期を前の年の6月以降などとする従来の経団連のルールを踏襲した案を示し、了承されました。ただ、企業に対する罰則などは盛り込まれず、実効性に課題を残す形となりました。

就職活動のルール、いわゆる「就活ルール」をめぐって、政府は29日、経団連と大学の関係者を交えた関係省庁連絡会議を開き、政府案を示しました。

それによりますと、2021年春に入社する今の大学2年生の採用面接の開始時期は前の年の6月以降などとする従来の経団連のルールと同様の採用日程を維持するとしています。

また、留学で就職活動ができない学生への対応やルールの抜け道と指摘されてきたインターンシップなどの論点についても議論を継続し、採用日程とともに政府が今年度末までに経済団体などに順守を要請するとしています。

さらに、案には2022年春以降も採用日程を維持する方向性が盛り込まれました。

これに対し、経団連や大学側から異論は出ず、政府案が了承されました。

「就活ルール」は政府の主導で、当面、維持されることになりましたが、ルールを守らない企業に対する罰則などは盛り込まれず、実効性に課題を残す形となりました。

経団連「よりルール順守の方向に」

経団連の久保田政一事務総長は就活ルールをめぐる政府の関係省庁連絡会議に出席したあと、記者団に対して「迅速にルールが取りまとめられたことを高く評価する」と述べました。
そのうえで「年度末に政府からの要請を受けて、全会員企業に周知していく。今回の議論を踏まえれば、よりルールを順守する方向に行くのではないか」と述べました。

また、採用や大学教育の在り方のより抜本的な見直しについては、経団連として年末をめどに考え方を取りまとめたうえで、大学や関係省庁と対話を続けたい考えを示しました。

鉄鋼連盟「一定の意味はある」

日本鉄鋼連盟の柿木厚司会長は29日の記者会見で、「政府や教育界がルールを作るのは移行期かもしれないが、大学側の教育の問題と企業側の採用活動期間の問題の両面から考えて、一定の意味はあると思う」と述べました。