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岡山発 VRで疑似体験!交通事故の危険~岡山県警・初導入~

NHK「もぎたて!」ゼロへのAction~なくそう交通事故死~
  • 2024年03月01日

交通事故に遭ってしまったら......。その“もしも”を体験できるVR=バーチャルリアリティーのゴーグルを使い、県内で交通安全教室が始まっています。ゴーグルを装着したら、たちまちあなたは車のドライバーや、道路を渡ろうとする歩行者です。どう行動して危険から身を守りますか?
(岡山放送局 記者 美濃田和紅)

水島警察署の取り組み

VRゴーグルを使っての交通安全教室を始めたのは、倉敷市の水島警察署です。1月27日の教室には地域に住む約50人が参加しました。ゴーグルをつけると、ドライバーや自転車、それに歩行者の視点から、計26種類の交通事故を疑似体験できます。

わたし(記者)も着けてみました。
首の向きに合わせて画面も動きます。驚きの没入感です。車の運転席に座っている、自分のズボンのチャックが見えるほど!その場にいると錯覚するくらい、緻密な作りにびっくりです。

酒酔い運転でぐらぐら 事故も↑

このうち、飲酒運転の体験では、酒の影響で視野が狭まりぐらぐら揺れて、周囲がぼやけて見えて横断歩道の歩行者をはねてしまいました。

ポイント!
県内で令和5年に発生した飲酒運転による人身事故は35件。3人が死亡、34人がけがをしています。令和4年より10件増えています。警察は新型コロナによる行動制限がなくなったことから、繁華街に出かける人が増えてきたことが背景にあるのではと分析しています。飲酒運転の取締りで210人が検挙されています。

ももくん

少しでもお酒を飲んだら運転しない。二日酔いで検挙された人がいるので、たくさん飲んだ次の日はバスやタクシーの利用を!

人身事故↑ 出会い頭にご注意

交差点での出会い頭の事故では、トラックの運転席から見える様子が再現され、車の死角となる場所から飛び出してきた歩行者に気づくのが遅れてしまいました。

ポイント!
県内では人身事故の総数も増えています。令和5年は令和4年に比べて18%余り多い5161件でした。このうち最も多かったのは「追突事故」の1675件で、「出会い頭事故」の1478件が続きました。「出会い頭事故」を起こした人のおよそ7割は、安全確認が不十分だったということです。

ももか
ちゃん

減速しながらではなく、しっかり停止してから周囲をよく見て確認を!

かぶって自転車ヘルメット

自転車で見通しの悪い交差点にさしかかる体験では、目の前の別の自転車が走っていったので、「自分も大丈夫」と一時停止せずについて行くと、右から出てきた車にはねられてしまいます。

ポイント!
自転車が関係する事故では、令和5年に県内で6人が死亡し、1134人がけがをしています。死傷した人のうちの8割以上がヘルメットを着けていませんでした。自転車の事故をめぐっては去年までの10年間、県内で128人が死亡しています。このうち、頭部へのけがが致命傷となった人が55人と、4割以上を占めました。

横断歩道マン

令和5年4月に自転車のヘルメットは着用が努力義務になりました。きちんとかぶって命を守りましょう。自転車も車の仲間です。交通ルールを守りましょう!

参加者は?

驚きの声をあげていた皆さん。うっかりすれば自分も起こしてしまう、巻き込まれてしまう交通事故の危険な状況を学んでいました。

ありえる話だなと思いました。トラックの目線とかいろんな画面が出るし、感覚がすごくはっきり分かるというか。

VRを体験して、これまでも似た経験があったと思いあたり、ドキッとした。自分はもう高齢なので、周りをよく見たり一時停止をしたりして気をつけたい。

県内の警察署で初

水島警察署の管内では飲酒運転が相次ぎ、交差点での出会い頭の事故が目立つことから、令和5年12月、県内の警察署で初めてこのVRゴーグルを導入しました。

水島署
朝原健
交通課長

交通事故はひと事として捉えられがちなので、よりリアルな体験をしてもらい事故防止の一助になれば。今後も、いろいろなパターンの交通事故をさまざまな人に体験してもらいたい。

水島警察署は、申請があれば管内で出前教室を開くことにしています。電話番号は086-444-0110です。

“事故を「自分事」に”

実際にVRゴーグルを装着して、360°どこを向いてもその場にいるかのような感覚でした。だからこそ事故が「自分事」になり、大変貴重な体験でした。現実世界ではもう2度とあのようなシーンを目にしないよう、取材者である私自身もふだんから注意しようと、気が引き締まりました。VRを活用した交通安全施策が広まることを願いつつ、体験したことがない方も、この記事をヒントに日常の小さな意識や行動を変えていただければと思います。事故を「自分事」にして、一緒に命を守りましょう!

  • 美濃田和紅

    NHK岡山放送局 記者

    美濃田和紅

    2022年入局 警察担当
    交通関係の取材などを行う

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