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カブトガニをまっすぐに!?博物館のバズった投稿の裏側

NHK岡山「もぎたて!」~あることをするだけでカブトガニが“ピンッ”とします~
  • 2024年02月26日

「体を曲げたカブトガニを真っ直ぐにしたい!そんなお悩みを持つあなた!」
こんな呼びかけで始まる岡山県にあるカブトガニ博物館のSNSへのポスト。その裏側とは・・・。

カブトガニの体をまっすぐに!?

1月中旬、個性的な書き出しから始まる投稿がX(旧ツイッター)に投稿されました。

カブトガニ博物館のXより

投稿に添えられていた動画には、体を曲げたカブトガニの背中あたりの白いふにふに部分を触ると体を“ピンッ”と伸ばす様子が。“カブトガニの体をまっすぐにする方法”とされたこの投稿には3万「いいね」がつき、閲覧数はおよそ500万にせまりました。さらに、ユーザーからはユニークな投稿に乗っかるコメントも多くつき大きな反響となりました。

カブトガニ博物館のXより

使わないけど覚えとこ

あしたから役に立つ

助かった~

投稿したカブトガニ博物館を直撃

岡山県にある笠岡市立カブトガニ博物館。例の投稿をしたのは、2年目の若手で兵庫県宝塚市出身の二宮颯人さんでした。お話を聞くと、どうやら最初の狙いは“カブトガニの体をまっすぐにする方法”とは全く違いました。

投稿までの流れをドラマ風に再現

体を曲げる防御姿勢を利用し
でんぐり返りするところを狙うも…

ということで投稿された動画。実は、でんぐり返りをせずに曲がったままのカブトガニの体をまっすぐに戻すために、カブトガニの背中あたりの白い部分を押して、もう一度動画を撮り直している“NGテイク”だったのです。

二宮さん

(背中の白い部分は)心臓が通っているのであそこも弱点になっている。あそこを優しくなでられると、隠さなきゃ・守らなきゃということで体をまっすぐにする。カブトガニの全長や体重の計測をするときに、あのような曲がったカブトガニをまっすぐにするために我々が行っている動作ですね。

カブトガニの背中側の弱点

そんな二宮さんたちにとっては普通の動作でしたが、「体をまっすぐにする方法」と軽い気持ちで投稿すると、瞬く間に広がり閲覧数は500万近くに。驚きを隠せませんでした。

二宮さん

自分としてはそんなに反響があると思っていなかったが、朝出勤したら上司に「どうしたんあの投稿、めちゃくちゃバズってるやん」と言われました。僕らとしては珍しくない日常的にみられる光景だったので反響には相当驚きました。

教えて!カブトガニの魅力

日々カブトガニと向き合う二宮さん。そんな二宮さんに
“生きた化石 カブトガニ”の魅力を教えてもらいました。

二宮さん

【①フォルム】トゲトゲした攻撃的なフォルム。その中にある「つぶらな瞳」もとてもキュートだと思います。

二宮さん

【②ロマン】2億年前から姿・形が変わらない“生きた化石”。古代の息吹を感じられます。

二宮さん

【③動き】重厚なボディからはなかなか想像できない、シャカシャカと足を動かす俊敏な動き。この動きが意外とキュートなんです。

投稿は日常からヒントをもらう

「カブトガニや笠岡の自然をより多くの人に知ってほしい」と一年前からXでの発信を開始したカブトガニ博物館。学芸員が中心となり、日々の飼育からヒントを得てユニークな文章と共にポストしています。
取材した日も二宮さんは何か投稿のネタがないかと探していたところ、なんとカブトガニが脱皮し始めているではありませんか!生まれてから何度も脱皮を繰り返し成長するカブトガニ。二宮さんによると、脱皮殻がエラや胃などにひっかかることで失敗し死ぬことも少なくないそう。まさに命がけなのです。

なんとか脱皮しようと頑張り続けましたが、取材から2週間後、残念ながらこのカブトガニは死んでしまいました。二宮さんも「カブトガニが大人になるのは本当に難しい」と一旦は肩を落としますが、これからもカブトガニの魅力発信に努めたいそうです。

二宮さん

どんどん笠岡のカブトガニ、博物館の魅力を発信していって、もっとカブトガニがメジャーな生き物になっていけば。

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