身近な防災“何をしたらいい?”
- 2024年02月09日
1月1日に発生した能登半島地震から1か月がたちました。
さまざまなメディアで被災地のことを目にする機会が増えるなか、
みなさんの防災意識に変化はあるのか?
そして、私たちはどのような備えをすればいいのか取材しました。
防災意識に変化は?
能登半島地震を受けて防災意識に変化はあったのか?
「高まった」か「変わらない」か、まず山形駅前で聞きました。
高まりました。自分はまだ大きな災害を経験したことがないですが、被災地の現状を見ているとかなり大変だなと。
家が古いので暖かくなったら点検しようと思っています。
地震で立派な家があんなふうになるんだもの・・・。
水が大事だと思ったのでウォーターサーバーを
これまでより多くストックとして用意しました。
このほかにも「最近はお風呂の水を捨てないようにしている」とか「いつでも逃げられるように、地震が起きたら家の戸を全部開けるようにしようと思う」と話す人もいました。
一方、「山形は災害が少ない」「以前から防災意識がある」などという理由で防災意識は「変わらない」と答えた人もいました。
今回の地震で山形県の沿岸にも津波警報が出されました。
津波警報が出された自治体の1つ、酒田市で聞いてみると・・・。
いままでは人ごとだと思っていたけど、こっちも津波がきたからね。
毎日、意識するようになった。前からいくぶんかは備えはしていたけど
1日の地震をみて余計にしていたおいたほうがいいと思った。
酒田市では15人中14人が「防災意識が高まった」と答えました。
結果、山形市と酒田市であわせて30人に聞いたところ、8割に上る24人が「高まった」と回答。
一方、意識は高まったものの、“どのように行動したらいいか分からない”という声も多くありました。
準備をしたくても、何を準備したらいいか分からない状態です。
何をしたらいいか・・・というのが現状です。
防災用品の“問い合わせ”も増加
山形市内のホームセンターでは、能登半島地震のあと防災用品についての問い合わせが増えています。
DCM南館店 丹野勝也 副店長
最近は毎日のように「この商品はどこにありますか」「この商品はどうやって使うんですか」
というお問い合わせを多くいただいております。
特に購入する人が増えているのが、家具を固定するための棒やガラスの飛散を防ぐフィルム。被災地では断水が問題となるなか、携帯トイレや水を入れるタンクを求める人も多いということです。
また、停電などに備えてガスコンロやガスボンベを買う人も増えているということです。
DCM南館店 丹野勝也 副店長
防災リュックを購入されて、「中には何を入れたらいいですか」という問い合わせもいただきます。県民の皆さまの防災意識の高まりを感じております。
“避難”に必要なものは?
県の自主防災アドバイザーで消防団員でもある花輪晃彦さんです。全国各地の自治体や地域住民を対象にした災害の図上訓練で講師も務めています。花輪さんに、避難するときのために最低限、備えておくべきものは、どういったものなのか聞きました。
近隣の自治体や県外からの支援が届くとされる「最低3日分を用意すること」。そして徒歩で避難するときでも体力を奪われないよう「量はあまり多くしないこと」がポイントだと言います。
花輪さんが自宅に備えている防災リュックや仕事などで外に出るときに持ち歩いているものを見せてもらいました。
・食べ物と水(500ミリリットルのペットボトル3本)
・充電機器(モバイルバッテリー・車から充電できる機器・ラジオ付きの手回し発電機など)
・乾電池
・携帯トイレ
・体を拭くためのウェットシート
・消毒液
・軍手(手のケガ防止用)
・ブルーシート(床に敷いたり・タンカーとして利用可能)
・レインコート
・ラップフィルム
・暖をとれるもの(市販のアルミシート・新聞紙・アルミホイル・カイロなど)
・給水パック
お菓子も大事!?
特に食料は、非常食だけでなくお菓子などを用意するのがポイントです。
県自主防災アドバイザー 花輪晃彦さん
日頃から食べているお菓子というのは意外と心が安心するんですよね。あと、あめは糖分も摂取できますが、のどの痛みも和らげてくれます。飲料水を作るパウダーなんかも塩分や糖分をとるにはいいと思います。
ふだん食べているものであれば定期的に消費して入れ替えることができるので、日頃から防災のことを意識できるというメリットもあるそうです。また、自分でどのような食料を準備しておけばいいか把握するためにも、住んでいる地域の指定避難所に非常食や水の備蓄がどれだけあるか、ぜひ事前に聞いてみてほしいと花輪さんは話していました。
家にある“あれ”でも
断水で水が使えないときや、けがの応急処置に役立つのがラップフィルムです。
お皿の上や手のひらに敷いて食事をすれば、洗い物を減らすことができます。また、指を切ってしまった場合などに、水で傷口を洗ったあとラップフィルムで巻くことで止血できたり、ばい菌が入るのを防いだりできるということです。さらに、骨が折れたときに添え木をしてラップで固定するということもできるそうです。
また、石川県の被災地では厳しい寒さのなかでの避難生活が課題となっています。
こうしたなか暖をとるのに役立つのが、新聞紙とアルミホイルです。
新聞紙の大きさにあうように切ったアルミホイルを、2枚の新聞紙の間に挟んでテープなどで固定します。これをおなかの周りに巻き付けることもできますし、2セットをつなぎあわせると体を覆うこともできます。また6セットをつなげれば、寝袋や床に敷くシートとしても使えるということです。
家に新聞がないという場合は、アルミホイルやラップフィルムをおなかに巻いたり、首に軽く巻くだけでも暖かいし、実はレインコートも熱を逃がさないため暖をとるのにも役立つということです。実際、花輪さんたち消防団員は上着などの下に着て現場に行くこともあるということです。
花輪さんはこうした物を防災リュックに入れて、自宅や車に置いておくことが大切だと話しています。このほかにも、薬は貴重品と一緒に日頃から1つのバッグにまとめておくと、避難したときに薬を忘れずに済むとアドバイスしていました。
枕元”にも備えを
地震で倒壊した自宅から脱出できないときに備えて、自宅でやれることもあります。
花輪さんは高齢の母親のベッドの枕元に、笛・懐中電灯・あめ・水を置いています。
笛を吹いたり、懐中電灯の明かりを照らしたりして声を出さずに助けを呼ぶことができたり、糖分や水分を摂取できるようにするためだということです。
能登半島地震では地震の発生から124時間が経過してから高齢の女性が救出されたということもありましたし、このような備えも重要だと感じました。
“災害は必ず起こる”
県自主防災アドバイザー 花輪晃彦さん
昔と違っていまは気象が変わってきている=地球の活動も変わってきているわけですから。自然災害が起こるのが当たり前だという考え方をもって日頃から生活していただいて、自分たちがどうやって生き延びようか、どうやって家族を守ろうかということを考えないといけないと思う。
花輪さんは防災に「正解」はなくて、皆さんがやっていることすべてが正解だと話していました。また、大きな災害が起きると自治体も十分に機能するとは言えません。行政に頼るだけでなく、私たちひとりひとりが災害が起きたときに各家庭でどのような備えが必要になるか想像しながら、準備を進めていく必要があると改めて強く感じました。
動画はこちらからご覧になれます。
↓(2024年1月31日放送)↓