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拉致問題知るきっかけに 母娘の心情を音楽で伝える

  • 2023年02月07日

1977年11月、当時13歳の横田めぐみさんが新潟市で北朝鮮に拉致されました。
めぐみさんの母・早紀江さんは2月で87歳になり、3年前に父・滋さんが亡くなった歳と同じ歳になりました。
親子の再会が果たせないまま45年以上がすぎ、体の衰えを感じることもあるという早紀江さん。
時間の制約は厳しさを増しています。
こうした中、母と娘の思いをテーマにロサンゼルスを拠点とするバンドが楽曲を制作。
メンバーが日本を訪れた1月、曲に込めた思いを取材しました。
新潟放送局 油布彩那

母と娘の思いを楽曲に

『On TheWay Home』と題された曲。

1977年、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんや、めぐみさんの救出を祈る母・早紀江さんの思いが英語で歌われています。

拉致被害者と家族の苦悩を描いた映画「めぐみへの誓い」が、去年9月にハリウッドで上映された際にも披露されました。

ロサンゼルス拠点のバンドが制作

楽曲を制作したのは、アメリカ・ロサンゼルスを拠点に活動するバンドのメンバーです。

自分たちで作ったスタジオでオリジナルの楽曲を制作し、配信しています。

いつかめぐみさんの気持ちを歌に

作曲を担当した加藤義隆さんです。

20年以上前から拉致問題に関心があった加藤さん。

いつかめぐみさんの気持ちを歌にできたらと考えていました。

5人の人が帰ってきて、その後一切北朝鮮は人を帰さない。なんてひどい独裁者なんだろうというのがずっとあって。
めぐみさんの気持ちを歌にできたらいいなと。メロディーが出来たときにそれを思い出して。

気持ちを想像しながら

より多くの人に曲を聞いてもらいたいと、加藤さんは英語の歌詞をメンバーの倉橋晋平さんに依頼しました。

倉橋さんは、めぐみさんや早紀江さんの気持ちを想像しながら作詞したといいます。

僕自身拉致被害者じゃないし、早紀江さんの気持ち、めぐみさんの気持ちは簡単にはわかることができない。難しいって思ったんですよね。彼女がどんな気持ちで連れ去られて拉致されたのかなと思った時に、まずお母さんに会いたい、 お父さんに会いたい、弟に会いたい、家に帰りたいですよね。

だから『can’t find my way back home』。家に帰る家路がわからないっていうふうな。

早紀江さんにも

去年10月、早紀江さんが出席した拉致被害者の救出を祈る集会に、倉橋さんも参加しました。

会が始まる前、楽曲を作っていることを直接早紀江さんに伝えたと言います。

映画『めぐみへの誓い』で僕たちが演奏させていただいた話とかもしました。
ぼくが詩を書いたんですという話をしたら、早紀江さんも詩とか 短歌を書くんですよと。
86歳でいらっしゃるので、やはり『大変です』という風なことをおっしゃってましたね。

倉橋さん自身、去年母親を亡くし、命に限りがあることを改めて痛感。
1日も早い、早紀江さんとめぐみさんの再会を望んでいます。

決して諦めないで

切り離された親子の思いを歌ったこの曲。
困難に立ち向かう人たちに決して諦めない思いを持ってもらうとともに、多くの人が拉致問題を知るきっかけになればと2人は話します。

生きている限り諦めないというか、忘れないというかそれが本当に大事なこと。
『As long as』という歌詞で最後終わってて、忘れちゃいけない、あきらめちゃいけない、
とにかく信じて生きて欲しい。

45年間娘のことを待ち続ける気持ち本当もうつらいと思います。
人生みんな色々あるじゃないですか、壁にぶち当たったり暗闇の中にいたり。
そういう時にもしこの歌を聞いてもらえたらいい。
拉致被害者の思いがこの曲を通してみんなと共感できる思いになる、共通点みたいなものができたら素晴らしいなと思います。

  • 油布彩那

    新潟放送局 記者

    油布彩那

    令和元年入局
    警察取材や拉致問題を担当

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