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めぐみさん拉致から45年 「再会を待つ人々」

  • 2022年11月24日

1977年11月15日。新潟市で当時中学1年生だった横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されました。
拉致問題解決への進展がみられないまま、45年。
家族の高齢化は進み、一刻の猶予も許されない状況となっています。
新潟で起きた北朝鮮による拉致事件。
いまも大切な人との再会を待ち望む人がいます。
                             新潟放送局 油布彩那

横田めぐみさんとは

新潟市の寄居中学校に通っていた横田めぐみさんです。

1977年11月15日。
午後6時半すぎ、部活動を終えて帰宅する途中に行方がわからなくなりました。

学校から家までの600メートルほどの間に事件は発生。

ヘリや警察犬も使った大規模な捜索活動が行われましたが、めぐみさんは見つかりませんでした。

「めぐみさんは北朝鮮にいる」

事件から20年。

家族にもたらされたのは、「めぐみさんが北朝鮮にいる」情報でした。

そして、めぐみさんが帰ってくるのではないかと期待を持って臨んだ2002年の日朝首脳会談。

北朝鮮の説明は、めぐみさんを含む8人が死亡というものでした。

しかし、めぐみさんが死亡したとして、北朝鮮が提出した資料には不自然な点が多く、遺骨として出された骨から別人のDNAが検出されるなど、政府は北朝鮮の主張は受け入れられないとしています。

父・滋さん 再会を果たせぬまま

救出活動の先頭に立ってきた父・滋さんは2020年に87歳で亡くなり、めぐみさんとの再会を果たすことはできませんでした。

めぐみさんは58歳に

中学生だった少女は、58歳になりました。

めぐみさんと同じ時間を過ごした同級生たちは、中学校を卒業し、それぞれの道に進みました。

友人にとっても、めぐみさんとの思い出は、その日でとまったまま。再会を待ち続けています。

真保恵美子さん

最も仲が良かった同級生の1人、真保恵美子さんです。

日常がぷつんと切れてしまった。
だって次の日に会えないなんて思わないですから。

めぐみさんを含む仲が良かった3人で、漫画を書いて遊んでいたという真保さん。

めぐみさんが実際に描いた絵を見せてもらいました。

真保さん
最初にやったのが、”ドイツに生きる少女たち”、なんていうなんか重々しい話を作ったのが、
途中でどんどん転がっていって、いつの間にかめぐみさんのキャラクターは”アルセーヌ・ルパン”だったことになったりして。
『あれ、こんな話にしちゃったの』って、『こんな話私嫌だ』とかいろいろ言いながら、毎日毎日楽しみに。

友人思いだったというめぐみさんは、かぜで学校を休んだ日に手紙を持ってきてくれたこともありました。

泣かない約束

幼いころ泣き虫だったという真保さん。
それを見かねためぐみさんと約束したことがあるといいます。

真保さん
『真保さん、今度人前で泣いたら髪の毛切るからね』って。
何日までって約束して、最後の日に泣いちゃって。
髪の毛1房、ちょきんと切られて。けど、全然嫌な感じではなくて私のためにやってくれたのがよくわかったので。

悪夢の中にいるよう

そんな優しい少女が、突然行方不明に。

早紀江さんから連絡を受け、真保さんは不安なまま夜を過ごしましたが、翌日、いつも通りめぐみさんがいるのではないか、そんな思いで学校に行きました。

真保さん
(めぐみさんが)きのうはごめんね心配かけてと言うんじゃないかと思って、学校に行ったけれども見当たらないし。
嘘でしょって、 涙も出ないというか。悪夢の中にいるみたいで、現実に戻れないんですよ。

あのとき抱きついていれば

真保さんにとって、45年経ったいまも忘れられない、後悔していることがあると言います。

行方がわからなくなる2日前のバドミントンの新人戦。
めぐみさんは選手として出場、真保さんは応援に駆けつけました。

真保さん
やっぱり不安だったんですよね 、めぐみさんも。私の顔見たら、『きゃあ、ボンボコー』って手を広げてきたのに、私恥ずかしくて抱きつけなかったんですよ。
その時の声と顔がどうしても頭に焼き付いていて、なんで抱きしめてあげなかったんだろうっていう、その後悔がもうずっと今も続いていて。
そのときの後悔と、あと試合に負けて、体育館の隅で泣いてためぐみさんの顔と、やっぱりその日の事が、やっぱりちょっと、頭から離れないですね。

いっしょにアルバムを見て、思い出話に花を咲かせたい。
めぐみさんと再会し、抱き合える日を待ち望んでいます。

真保さん
お帰りなさいと言って、抱きついて泣きますよ私。
なんで45年経ってしまったの?っていうことが腹立たしいし、悔しい。あしたでもあさってにでも返してほしいです本当に。

  • 油布彩那

    新潟放送局 記者

    油布彩那

    令和元年入局
    警察取材や拉致問題を担当

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