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飛行機の撮影スポット「垣生山・津田山・弁天山」

えひめふる里山歩き(11)
  • 2024年05月22日

愛媛県内の身近な里山の魅力を紹介するシリーズ「えひめふる里山歩き」。今回ご紹介するのは、松山空港のすぐそばにある3つの山、「垣生山、津田山、弁天山」です。
いずれも標高が100mあまりの里山ですが、この場所ならではの景色と地域の方たちの「おもてなし」にあふれる魅力的な山でした。

(NHK松山放送局 松田利仁亜 アナウンサー/岡部 馨 カメラマン)

特集の内容はNHKプラスで配信中の「ひめポン!」(NHKGTV午後6時10分~)でご覧いただけます。

画像をクリックすると見逃し配信が見られます!5/27(月) 午後6:59 まで

松山空港すぐそばの展望スポット

松山空港を離発着する航空機

愛媛の空の玄関口、松山空港の北東に3つの山が連なっています。垣生山(はぶやま)、津田山(つだやま)、弁天山(べんてんやま)です。最も高い弁天山でも標高は130メートルと、いずれも気軽に登ることができる里山です。空港から見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。

今回一緒に登っていただくのは、八木昭憲さんです。垣生山のふもと、生石地区でまちづくり協議会の会長を務めています。10年前から地元の象徴でもある垣生山の整備を行っています。

八木昭憲さん
垣生山は邪魔するものが何もなくて、見晴らし抜群なんです。また、皆さんテーブルを作ったり、イスを作ったり、中にはハンモックを作って休んでくださいというような場所もあるんですよ。

今回のルートです。松山空港近くの「空港南第二公園」からスタートし、空港から2キロメートルほどの距離にある登山口へ。そこから、垣生山、津田山を経て、弁天山へと縦走します。

戦争の歴史伝える「掩体壕」

登山口への道すがら、大きなコンクリートの建造物を見つけました。戦時中に旧日本軍が作った「掩体壕」(えんたいごう)です。

「掩体壕」ってあまり聞きなれないですが、これはなんですか?

戦闘機を敵に見つからないようにする施設です

現在の松山空港は、戦時中に海軍の航空基地として建設されました。そしてこの「掩体壕」は、軍用機を敵の爆撃から守るための格納庫として作られました。周辺に63基が作られましたが、当時の姿のまま残っているのはここだけです。戦争の記憶を伝え、地域の歴史を物語る貴重な建造物として、平成30年に松山市の有形文化財に指定されています。

登山者をおもてなし・垣生山

住宅街の中にある登山口からいよいよ入山。まずは垣生山を目指します。
ここでは毎月、八木さんや地元の人たちが登山道の下草を刈るなどの整備を行っています。

登山道を歩いていると、いたるところに八木さんたちのこだわりが見られます。
例えばこちら、およそ100メートル進むごとに設置されている、世界の国々を紹介するクイズです。

クイズの答えは「インドネシア」

これ国旗ですね。なぜこれを?

やっぱり答えを考えていたら
疲れがふっとぶでしょう

松山空港を一望 垣生山の展望台

登山口から垣生山の山頂までは、ゆっくり歩いておよそ25分。展望台に上がってみると、滑走路の端から端まで、空港全体を見渡すことができました。ここは県内外から飛行機を目当てに多くのカメラマンが訪れる撮影スポットになっているんです。

そして、その山頂には、松山空港を発着する航空機の時刻表が用意されていました。

これ松山空港の発着便って書いてありますね

ちょっとした「おもてなし」をさせてもらっているんです

こうしたところにも「この場所から離着陸の瞬間を見てもらいたい」という、地元の人の心遣いを感じました。

憩いのひととき・津田山

垣生山から歩くこと15分。
2つ目のピーク、津田山に到着です。

山頂の木陰には、手作りのハンモックがありました。
心地よい風が吹いていて、ハンモックに揺られていると一瞬ロケを忘れてしまうほどでした。

自然豊かな登山道

垣生山から津田山、弁天山にかけての登山道は自然にあふれています。時折、飛行機や町の音が聞こえるものの、あたりは豊かな林が広がっており、松山市の町なかとは思えない雰囲気です。

取材に訪れた日も、野鳥のさえずりが聞こえたり、キツツキの仲間「コゲラ」が虫をついばんでいたりしました。

登山道は竹林の中へ

また、植生も杉林から竹林に変わったり、かんきつの畑が広がっていたりするなど、場所によって登山道はガラリと表情を変えました。実に登りがいのある山だと感じました。

弁天山の手前にはかんきつの畑

最後のピーク 弁天山へ

津田山からさらに進むこと20分、弁天山に到着です。
山頂からは松山の町並みを見渡すことができました。

松山城の天守閣があって、石鎚山もくまなくはっきり見えますね

遠く石鎚山の山並みも見える

弁天山からの景色。まさに絶景です。
地域の方たちが登山道を整備する理由が分かった気がしました。

八木昭憲さん
この眺望と、それを見るために皆さんの日々の道の手入れ。草刈りとかをしていただけるから、こうやって歩いてこられるんでね。ありがたいなと思います。もう宝物ですね。

最後に1句詠んでみた

恒例の「里山ハイク」です。今回も1句詠んでみました。

くんぷうをうけかなたまでほうよくよ
「薫風を受け彼方まで鵬翼よ」

(松田利仁亜アナウンサー)
鵬翼とは想像上の大きな鳥の翼の意味で、それが転じて飛行機を指すそうです。5月の心地よい風を感じた山歩き。その風を受けて飛ぶ飛行機は気持ちよくどこまでも飛んでいきそうに見えました。そんな気持ちを込めて呼んだ句です。

山岳カメラマンも詠んでみた

さて、この「えひめふる里山歩き」の取材を担当してきた、山岳取材班の岡部カメラマンが、このたび転勤することになり、記念に1句詠んでもらいました。

松山空港を飛び立つ羽田便

あおねこしぎんよくはるかいよすだつ
「青嶺越し銀翼はるか伊予巣立つ」

(岡部馨カメラマン)
青葉茂る里山の上空を飛び去っていく飛行機に自らの姿を重ねました。
このコーナーを愛し、育てていただいた、愛媛の皆さんへの感謝と惜別の思いを込めて詠みました。
いつかまた愛媛の山に帰ってきます。ありがとうございました。

垣生山、津田山、弁天山について

所在地:愛媛県松山市
標高 :弁天山 130m
(備考)
今回のルートを振り返ります。スタートしたのは空港ビルと滑走路を挟んだ「空港南第二公園」です。
「掩体壕」は外環状道路の東垣生ICを降りてしばらく進むとあります。
登山口は住宅街の中です。登山者向けの駐車場は近くにありませんので、近隣のコインパーキングなどを利用してください。
登山口から弁天山の山頂までは、およそ1時間ほどで歩くことができます。

特集の内容はNHKプラス配信終了後、下記の動画でご覧いただけます。

  • 岡部馨

    岡部馨

    NHK山岳取材班のカメラマン。今回が担当する最後の「えひめふる里山歩き」

  • 松田利仁亜

    松田利仁亜

    2002年入局。2014-2017年以来2度目の松山局勤務。公私共にさらに愛媛の良いところを探し求めています。 

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