ド迫力!! 大造り物の引き回し
- 2023年09月05日
五穀豊穣や豊作を願って江戸時代から続く熊本県山都町の秋祭り「八朔祭」。最大の呼び物「大造り物」の引き回しが行われ、町内は活気にあふれました。
歴史は260年以上の「八朔祭」
熊本県東部に位置する山あいに広がる山都町。この町には、260年以上続く伝統の祭りで五穀豊穣や豊作を願う「八朔祭」が伝わります。その祭りの最大の呼び物が「大造り物」の引き回しです。ことしは9月3日に行われ、町内は約4万人の観光客の熱気に包まれました。
大造り物は、虎や象、力士などをかたどり、大きい物では高さ5メートル、重さ2トン近くになるものもあります。材料は竹や杉、ススキ、それに松ぼっくりなど、すべて山野に自生する植物が使われています。勢いのある動きや表情をしている大造り物ですが、近くで見ると素朴な風合いをしています。
この大造り物は、町役場の有志や商店主たち、地元の高校などあわせて10の団体がおよそ2ヶ月かけて、技術を競い合いながら作り上げていきます。ただ何を作っているのかは、祭り当日までは一切秘密とされ、それぞれの団体は人目につかないよう小屋の中で作っていきます。
「通潤橋」に「WBC」大造り物でお祝い
商店街の人たちが手がけたトラの姿をした大造り物。いまにも飛びかかるような姿が見事に表現されています。トラが高く飛躍し、町の観光も飛躍して欲しい。ことし、国宝への指定が答申された町の観光名所「通潤橋」に多くの観光客が来るように、という願いが込められているということです。
こちらも商店街の人たち手がけた「シビレタ⚡WBC⚾」というタイトルの大造り物。3月に開かれた野球のWBC(ワールドベースボールクラシック)で、国民全体が「シビれた」という感情を、稲妻を出す雷神の姿で表現しているということです。
力作揃いの大造り物、今年の1番は・・・
金賞に輝いたのは、大川町・下大川連合組が手がけた「疫病退治(オニクロン) 鍾馗(しょうき)」が選ばれました。かつて天然痘除けとして信仰された鍾馗が、鬼に見立てた新型コロナを退治する姿が表現されています。
銀賞は、下市連合組が手がけた「先人に感謝 国宝だ象!!」が選ばれました。通潤橋を造った、町の先人への感謝の思いが込められた大造り物です。残暑厳しい中で行われた祭りでは、それぞれの団体が笛や太鼓を鳴らしながら、自慢の大造り物を町内に引き回していました。その迫力に、訪れた多くの観光客は圧倒されていました。
菊池市から家族で訪れた女性
「去年はコロナで来られなかったので、非常に楽しいです。トラやゾウなど大きくて迫力があり、興奮しました。」
山口県から訪れた70代男性
「松ぼっくりや杉の皮を使って作るのがすごいと思います。」
ことしの八朔祭で引き回された10体の大造り物は、山都町内の商店街にある「大造り小屋」で展示され、誰でも自由に見ることができます。
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