高知の三大祭り「秋葉まつり」 清流が育む茶どころ 仁淀川町
- 2024年05月07日
風景印を通して地域の文化や魅力を紹介するシリーズ。
今回は高知県の西部、吾川郡仁淀川町にある仁淀郵便局の風景印です。
にぎわい再び!土佐三大祭りのひとつ「秋葉まつり」
こちらが仁淀郵便局の風景印です。
風景印の右上に描かれているのは、毎年2月に行われる仁淀川町の「秋葉まつり」です。今年も2月11日に開催されました。火の災いを封じ込めるための祭りとして、江戸時代から200年以上続けられています。
地元の参加者たちは火消しの装束や武士の衣裳を身にまとい、太鼓や笛の音に合わせて、岩谷神社から火の神様をまつる秋葉神社までおよそ3キロの山あいの道を6時間かけて練り歩きます。道のりではかけ声とともにみこしを左右に大きく揺らす姿が見られました。
秋葉神社の境内に到着すると、名物の「鳥毛ひねり」が披露されます。
「鳥毛ひねり」は長さ7メートル、重さ8キロの東天紅(とうてんこう)というニワトリの羽を付けた毛やりを2人が豪快に投げ合う祭りの見せ場です。毛やりがうまくキャッチされる様子は迫力があり、見ている人たちから歓声と大きな拍手がわいていました。
「秋葉まつり」はコロナ禍に規模が大幅に縮小されるなど影響を受けましたが、2023年からは通常通りの規模で開催されています。一方で技術を伝承する人たちの高齢化や後継者不足が進んでいるそうです。この伝統がこれからも守られることを願いたいと思います。
多くの旅人が行き交った仁淀川町
風景印の左下に描かれている建物は、仁淀川町の指定有形民俗文化財「泉の番所跡」です。番所とは警備や見張りのために配置されていた番人が詰めるための施設です。
1870年(明治3年)まで150年間、ここを通行する人々の取り締まりを行っていました。
番所はかつてかやぶきの屋根でしたが、ふき替えの資材や作業の担い手が少なくなってきたため、現在は金属製の屋根に改修されています。それでも山あいに静かにたたずむ建物には当時の趣が残っています。
霧の中で育まれる香り高いお茶
風景印の左のほうに描かれているのは、仁淀川町の沢渡(さわたり)地区にある茶畑です。仁淀川に面した急斜面で栽培されていて、青い空と青い川、茶畑のコントラストが絶景です。
この一帯は霧が深く、高知県を代表する茶どころとして知られています。お茶は優しい味でありながら輪郭がはっきりしていて、しっかりとした味を感じられるのが特徴だといいます。この香り高いお茶のファンは多く、有名な老舗旅館などでも出されているそうです。
沢渡地区には、このお茶を存分に楽しめるカフェがあります。
こちらは店長の岸本実佳さん。夫の憲明さんの家が代々続くお茶農家で、沢渡の美しい景色と茶畑を絶やしたくない、という思いから、一緒に茶農家を継ぐことを決心したそうです。現在はお茶の栽培のほか、茶葉を使った商品開発や宣伝も積極的に行っています。
店内では、沢渡茶を活かした様々なスイーツやドリンクが楽しめます。ワッフルはフワフワ食感。生地に練り込まれたお茶がやさしく香ります。特に人気はスムージーだそうです。沢渡茶のパウダーをぜいたくに使いバニラアイスを加えて仕上げた店長こだわりの逸品とのこと。お茶のほろ苦さと甘味のバランスが絶妙で、一口飲んだ瞬間に思わず「おいしい!」と声をあげてしまいそうになるほどです。
山里で静かに咲きほこる一本桜
町の中心部から車で30分ほど走った場所に、毎年春、人々を魅了する一本桜があります。「中越家のしだれ桜」と呼ばれています。樹齢約200年、高さおよそ15メートルのエドヒガンザクラで町指定の天然記念物です。江戸時代、別枝村(現在の仁淀川町別枝地区)の庄屋だった中越家が、土佐藩筆頭家老で佐川領主の深尾公の休憩の地に植えたものと言われています。今年もりんと咲きほこり大勢の人々を楽しませました。
仁淀郵便局の風景印には、豊かな自然に育まれた歴史と仁淀川が織りなす景色、そしてその恵みが刻まれていました。
次回の「風景印でめぐる高知」もぜひご覧ください。