高知県の伝統旗「フラフ」で子の成長願う
- 2024年05月01日
5月5日の端午の節句に、こいのぼりと一緒に掲げられる高知県の伝統の旗「フラフ」。
ことしも県内では子どもの健やかな成長を願って、職人が筆を握る姿が見られました。
(NHK高知放送局 記者 佐藤巴南)
端午の節句に向けて
フラフとは、英語で「旗」を意味する「フラッグ」が語源とされ、高知県内では端午の節句を祝ってこいのぼりと一緒に掲げられる大きな旗です。
4月中旬に取材した高知県香美市にある創業120年の染め物工場では、フラフ作りの作業が最盛期を迎えていました。
光る職人の技
作業では、まず職人が白い木綿の生地に、馬に乗った武士や富士山などの下絵を描きます。
そこに、色が混ざらないようにもち米で作ったのりで縁取りをしたあと、太さが違う筆で色を塗ったり、指でぼかしたりしていきます。
ことしは、世界各地で紛争や戦争が相次いでいることから、よろいやかぶとをかぶった武士ではなく、えびすや桃太郎といった幸福を象徴するデザインが人気だそうです。
すべて手書きなので、目の入れ方や輪郭など同じものはありません。また、顔の上に塗料が垂れて失敗するとやり直しになるので、いちばん神経を使うところです。
フラフにも変化が
この工場では、30年ほど前にはおよそ400点あった注文が、少子化などの影響で年々減り、ことしは50点ほどになったということです。
また、マンションなどに住む家庭が増えたことから、室内向けの小さいサイズの注文が全体の8割を占めているということです。
主人公の表情の細かさや波しぶきの色にまでこだわっているので、全体的なバランスも含めて見てほしいです。お子さんが健やかに成長してほしいという気持ちとみなさんの幸せを願う思いを込めていつもフラフを作っています。「作ってよかった」と言ってもらえたら、それまであったプレッシャーも吹き飛びます。