朝井まかてさんが語る『らんまん』の魅力
- 2023年07月31日
『らんまん』主人公のモデル 牧野富太郎博士の生涯を描いた小説「ボタニカ」。読んだことがある人も多いのではないでしょうか。1年ぶりに高知を訪れた作者の朝井まかてさんに『らんまん』の魅力を聞きました。
(高知放送局 リポーター 五十嵐優衣)
朝井まかてさんが来高
高知市などが生涯教育の一環として毎年開いている「夏季大学」。講師として朝井まかてさんが登壇しました。
朝井さんは、2014年に直木賞を受賞した作家です。去年は、牧野富太郎博士の生涯を描いた小説「ボタニカ」(祥伝社 刊)を手がけました。
この日は、牧野博士と同い年の文豪・森鷗外について、ふたりの人生をテーマに講演しました。
朝井まかてさん
「この2人を一緒に語るなんて、ちょっと違和感があるかもしれませんが、富太郎と林太郎(森鷗外)の2人は病気に近い情熱といいますか、強い志とそれを貫く生き方がありました」
講演では2人の「植物好き」という共通点や、鷗外が植物の名前を牧野博士に尋ねていたことなど、意外なエピソードを紹介し、訪れた人たちは朝井さんの情熱あふれる語り口に聞き入っていました。
「『らんまん』では神木隆之介さんがさわやかに演じているんですが、植物学を突き詰めて、結構周りの人が大変だったんだなと印象に残りました」
「富太郎さんだけではなく、林太郎さんのお話もされていて、とてもおもしろかったです」
朝井さんが語る『らんまん』
講演後、朝井さんに話を聞きました。
『らんまん』を毎朝どんな気持ちで見ていますか?
朝井まかてさん
「おもしろくてドキドキする。万太郎と寿恵子さん、この2人がとてもいいです。そして、それだけではなく、佐川の人々、大学の人々、長屋の人々、それぞれに魅力があります。ある意味、万太郎を中心にした群像劇になっている。そう思っておもしろく拝見しています」
小説家の目線で感じる魅力
一方、朝井さんが描いた『ボタニカ』も牧野博士の物語です。同じ人物を扱いながら、小説とドラマでは違った魅力があると小説家の目線で教えてくれました。
朝井まかてさん
「小説の場合は、視点を1人にした場合は、本人が知り得ること以外は見えない、聞こえない、知りようがないですよね。ドラマの場合は、本人がそこにいなくても、いろんなことが起こるわけですよね。牧野博士の佐川町の日ざしそのものの光とそれによって出来る影。教授たちの嫉妬とか焦り、孤独、そこにグッと入っていけるのは映像の良さです」
今後の注目点
『らんまん』のこれからの展開について、朝井さんならではの注目点を教えてくれました。
朝井まかてさん
「史実ではこれからますますえらいことになるはずなんですが、彼が立ち向かう壁、ハードルの高さ、それをどうやって飛び越えさせるのか、というところに物書きとして興味があって、楽しみです」