【特集】人間ドックで行う検査、健康診断の結果でチェックすべきポイントについて

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【特集】人間ドックで行う検査、健康診断の結果でチェックすべきポイントについて

人間ドックや健康診断を受診することで、健康状態を把握し、病気やその前兆を早期発見、予防につなげることができます。人間ドックは基本メニューにあわせてさまざまなオプションがあり、年齢、性別、生活習慣に基づいて必要なオプションを選択することが大事です。オプション検査が勧められる人はどんな人なのか、健康診断の結果はどのように見たらよいのかなど、お役立ち情報をまとめました。

知っておきたい人間ドック

人間ドックと健康診断の違い

人間ドックは個人の意思で受ける、より詳しい健康診断で、「生活習慣病の対策と管理」「動脈硬化の予防」「がんの早期発見」を主な目的としています。医療機関によって異なる部分もありますが、一般健診や特定健康診査の内容をカバーし、さらにがん検診も含めて行われます。基本的に自費となりますが、加入している保険によっては人間ドックの費用の一部を負担してくれる「補助制度」があります。

人間ドックと健康診断

健康診断は、体の異常を早期に発見するための機会として、自治体や職場などで実施することが法律で義務づけられています。1年に1回職場で実施される一般健診のほか、40~74歳の人を対象に生活習慣病の予防・早期発見を目的に行われる特定健康診査、5大がんと呼ばれる胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がんの早期発見を目的とした対策型がん検診などがあります。

人間ドックの検査項目

人間ドックの検査項目

人間ドックの検査項目は、基本検査オプション検査に大別されます。基本検査は、全国どこの人間ドックを受けても共通で行われる検査です。一般健診では行われない検査項目としては、目の病気を調べる眼底・眼圧検査、肺や気管支の病気を調べる呼吸機能検査、胃や食道を調べる上部消化管エックス線検査(バリウム)、肝臓、胆のう、すい臓、腎臓などを超音波を使って調べる腹部エコー検査、大腸の病気を調べる便潜血検査などがあげられます。オプション検査は基本検査に追加できる検査で、各施設によりさまざまな種類があります。自分の生活習慣や家族の病歴などを基に、希望する項目を追加できます。

人間ドックは、一般にさまざまな病気が気になり始める40歳代から受けるのが勧められます。自分が気付いていなかった異常を早い段階で発見できるよい機会です。また、人間ドックを受けるだけで終わらせず、結果によっては精密検査を受けたり、治療や生活習慣の改善などを始めることが大切です。

人間ドックの賢明な活用術や健康診断との違いについて知りたい方はこちら

肺の検査

肺の検査

肺の基本検査には呼吸機能検査、胸部エックス線検査、オプション検査には数十もの断面を撮影する胸部CT検査、たんを顕微鏡で観察して病的な成分が含まれていないか調べる喀痰(かくたん)細胞診検査などがあります。

胸部CT検査や喀痰細胞診検査は、肺がんを見つけるのに有用です。50歳以上で特に「喫煙習慣がある人」や「最近せきやたんがよく出る」「家族に肺がんになった人がいる」という人に勧められます。

心臓の検査

心臓の検査

心臓の基本検査には血圧測定、心拍数計測、心電図検査、胸部エックス線検査、オプション検査には運動負荷心電図検査などがあります。

運動負荷心電図検査とは、運動をして心臓に負荷をかけながら心電図をとるもので、安静時には現れない隠れた狭心症や不整脈などを発見します。受診が勧められるのは40歳以上の男性、50歳以上の女性で、特に「糖尿病、高血圧、脂質異常症のある人や喫煙者」です。また、これから運動を積極的に行おうと考えている人も、この検査によってどの程度の運動負荷に耐えられるかがわかります。

食道・胃の検査

食道・胃の検査

食道・胃の基本検査には上部消化管エックス線検査(バリウム)、オプション検査には内視鏡検査、胃がんの原因になるピロリ菌の有無を調べるピロリ菌検査、がんの手がかりを知るための腫瘍マーカー検査などがあります。

内視鏡検査は上部消化管エックス線検査に比べ、食道や胃の内部をより詳しく調べることができます。胃がんのリスクが高まる「50歳以上の人」「ピロリ菌に感染している人や過去に感染していた人」に勧められる検査です。

大腸の検査

大腸の検査

大腸の基本検査には便潜血検査、オプション検査には大腸内視鏡検査腫瘍マーカー検査があります。

大腸内視鏡検査は肛門から内視鏡を入れて、大腸の状態を直接モニターに映し出して調べる検査です。便潜血検査で陽性の場合は大腸がんが疑われるので、後日必ず大腸内視鏡検査を行います。ほかにも、「最近、便が細くなった」「50歳以上の人」「大腸がんを起こした家族がいる人」は大腸がんのリスクが高いので、受診が勧められます。

人間ドックで行う内臓の検査について詳しく知りたい方はこちら

血管の検査

頸動脈(けいどうみゃく)エコー検査

血管の検査には、主に頚[けい]動脈超音波(エコー)検査血管年齢検査があります。頚動脈超音波検査は首筋に超音波を当てて頚動脈を画像化し、動脈硬化の有無やその程度を調べる検査です。結果から、全身の動脈硬化の進行を推定することができます。血管年齢検査は両腕、両脚の血圧と脈波を同時に測ることで血管の硬さを判定し、各年齢の平均値と比較して「推定血管年齢」を算出します。

「家族が心筋梗塞や脳梗塞など動脈硬化性の病気を起こしたことがある」「喫煙、高血糖、高血圧、脂質異常症など、危険因子をもっている」「50歳代以上」といった人に勧められる検査です。

血管の検査について知りたい方はこちら
動脈硬化を観察する検査について詳しく知りたい方はこちら

脳の検査(脳ドック)

脳ドックは、脳に関する検査を半日~1日ほどで受けて脳の様子を調べるもので、さまざまな異常が早く発見できるため脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の予防に有効です。脳ドックでは、脳の血管を映し出し脳動脈りゅうなどを調べる頭部MRA(磁気共鳴血管画像)検査、脳の内部を断面図にして脳梗塞や微小脳出血などを調べる頭部MRI(磁気共鳴画像)検査、頚動脈に超音波を当てて動脈硬化の状態を調べる頚動脈超音波(エコー)検査などを行い、病気が起こる危険度を調べます。

脳ドックとは

脳ドックが勧められるのは、「両親や兄弟姉妹が脳卒中を起こしたことのある人」「脳卒中の症状を一時的に起こしたことのある人」「喫煙、高血糖、高血圧、脂質異常症、肥満などの危険因子をもっている人」などです。

脳の検査について詳しく知りたい方はこちら



健康診断の結果 チェックすべきポイントは?

健康診断の結果をきちんとチェックすれば、症状がないうちから「病気の前兆」を発見できます。3つのチェックポイントに照らし合わせて、あなたの健康診断結果を見直してみましょう。

健康診断チェックポイント
  • 前回と比べる
    数値が基準値以内でも去年より悪くなっているものは要注意です。特に注意したいのが「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」。HbA1cは最近1~2か月の血糖値を反映しているので、いつ計測しても比較的安定した数値を知ることができます。HbA1cは6.5%以上で糖尿病の恐れがありますが、数値が年々悪くなっている人、既に基準値を上回っている人は炭水化物を減らすこと、お酒を減らすこと、運動することが大切です。
  • 家族の結果もチェック
    家族同士は生活習慣が似ることから、同じような生活習慣病を発症しやすいと考えられます。家族の結果もチェックして、病気の発見や生活習慣の改善に役立てましょう。特にチェックしたいのは「LDLコレステロール(悪玉コレステロール)」です。140以上は高値なので、まずは炭水化物や肉を減らすこと、野菜を増やすことが大切です。
  • 食べすぎ飲みすぎの人は特にチェック
    普段から食べすぎたりお酒を飲みすぎたりする人は、肝臓の機能を示す「AST」「ALT」「γ(ガンマ)-GTP」をチェックして下さい。数値に異常がなくても、脂肪肝になっている場合があります。そのような生活習慣がある人はまずは炭水化物を減らすこと、お酒を減らすことが大切です。また腹部の超音波検査を検討するのも良いでしょう。

変動しやすい数値

検査した日によって検査結果の数値が変わってしまう…ということを経験したことはありませんか?
実はちょっとしたことで本来の状態からずれた数値がでる検査項目があります。下記はその一部です。

変動しやすい数値がある

健康診断の結果で見るべきポイントと変動しやすい数値について詳しく知りたい方はこちら



血液検査・採血後の体調不良

血管迷走神経反射

採血をする時に気分が悪くなるのは、「血管迷走神経反射」と呼ばれる現象です。恐怖心や痛みなどで一時的にめまい、吐き気、失神などを起こす反応のことを指しますが、特に採血の場合には、針を刺したり血液を見たりすることが怖いという人に起こります。

体調が悪い時や脱水状態になっている時はなおさら起こりやすいことが知られています。以前の採血時に気分が悪くなったことがある人は、あらかじめ水分をよく摂って脱水状態にならないように気を付けましょう。また、採血の前に申し出てベッドで寝た状態で採血してもらうのもよいでしょう。

血液検査に関わる事例と病気

血液検査の結果で気を付けたいのが白血球の増加です。白血球の基準値はおよそ3300~8700/μLですから、数値が1万以上になってくると高いと言えます。

白血球増加は喫煙が原因であることが多いですが、もっと重大な病気の可能性もあります。それは「慢性骨髄性白血病」です。原因不明の白血球増加があれば、たとえ症状がなくても一度は専門医の診断を受けましょう。

また、健康診断で鉄不足による貧血が見られるケースでは、女性の場合多くは月経が原因です。しかしながら、月経とは関係なく鉄不足による貧血がある場合は注意が必要です。
実際に貧血の原因が消化管からの出血であることがわかり、詳しく検査すると「大腸がん」が見つかったケースもあります。

血液検査・採血後の体調不良についてはこちら



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