子宮頸がん
子宮頸(けい)がんは、子宮の入り口(子宮頸部)にできるがんで、30〜40歳代に多く発症します。原因は、「ヒトパピローマウイルス(HPV)」というウイルスで、主に性交渉によって感染します。
子宮頸がんの症状
初期症状はほとんどありませんが、進行した場合の自覚症状は以下の通りです。
- 生理のとき以外の出血
- 性行為による出血
- 茶褐色・黒褐色のおりものが増えるなどおりものの異常
- 足腰の痛み
- 血の混じった尿
HPVワクチンで予防
子宮頸がんは、HPVワクチンの接種によって感染予防ができますが、日本での接種率は1%未満。かつて副反応の訴えが相次いだため、積極的な呼びかけが中止されていました。しかし、厚生労働省はHPVワクチンの安全性と有効性を示すデータが国内外で集められたとし、2022年4月から積極的な接種の呼びかけを再開しました。公費負担による定期接種の対象は、小学6年生〜高校1年生相当の女性です。
ワクチン接種後に生じた副反応に対する協力医療機関は厚生労働省のホームページに掲載されています。
子宮頸がん検診で早期発見
HPVワクチン接種とともに重要なのが検診です。自覚症状がなくても「子宮頸がん検診」を定期的に受けることが勧められます。子宮頸がんの場合、がんが発生する前に、異形成という病変が見つかる時期がしばらく続きます。この時期に子宮頸がん検診を受け、がんになる前の段階で発見することができれば、子宮頸部の一部だけを切除したり、レーザーを照射することにより治療できます。
子宮頸がんの治療
子宮頸がんの治療法には、手術、放射線、抗がん剤の3つがあります。早期がんの場合は、手術が中心です。少し進行したがんは、手術後に放射線や抗がん剤を行うなど、がんの進行度によって3つの治療法を組み合わせていきます。
子宮頸がんの症状・早期発見のポイント、ワクチン、治療法について詳しく知りたい方はこちら
子宮体がん
子宮体がんの主な原因は女性ホルモンの乱れで、発症は40歳以降から増え始め、最も多いのは50~60歳代です。
女性ホルモンには、子宮内膜の増殖を促す「エストロゲン」と、子宮内膜の増殖を抑える「プロゲステロン」があります。この2つのホルモンバランスが何らかの原因で崩れ、エストロゲンの働きが過剰になり、子宮内膜が異常に増殖すると、がんが発生します。
子宮体がんのセルフチェック
子宮体がんは国が定めるがん検診の対象にはなっていません。子宮体がんを早期発見するために、ふだんから気をつけたい症状や、がんのリスクを高める要因を知っておくことが大切です。
【ふだんから気をつけたい症状】
- 月経以外のときに出血がある
- 閉経後に不正出血がある
- 30歳以上で月経不順がある
- 妊娠・出産経験がない
- 肥満
- 家族に子宮体がん、大腸がん、胃がん、泌尿器系のがんの人がいる
不正出血や月経不順は、ストレスや過度のダイエットなどでも起こりますが、子宮体がんをはじめ、子宮頸がんや子宮筋腫などの病気が隠れている可能性があります。サインをそのままにせずに、原因をきちんと調べておくことが大切です。気になる症状があれば、婦人科を受診しましょう。
子宮体がんの治療
子宮体がんの治療の第一選択は「手術」です。がんが子宮体部だけにあり、しかも子宮内膜の中にとどまっている早期に見つかっても、手術では子宮と卵管、卵巣をすべて摘出します。これは、子宮体がんは卵巣に転移しやすく、また卵巣から分泌されるエストロゲンが関わっているためです。
最近では、早期にがんが発見できた場合は、開腹手術よりも身体的負担が軽い「腹腔鏡(ふくくうきょう)手術が行われることが多くなっています。
がんが進行している場合は、子宮周辺のがんが転移しやすい組織や、骨盤の内側にあるリンパ節も切除します。
子宮体がんの原因や症状、治療について詳しく知りたい方はこちら
卵巣がん
卵巣がんは40歳代から急激に増えます。残念ながら、現在のところ、有効な検診や早期発見の方法は確立されておらず、早期発見の難しいがんといえます。
また、初期症状もほとんどありません。進行した場合に現れる自覚症状は下腹部の張り、圧迫感、痛み、しこりなどが現れますが、下腹部の張りを太ったと考え、見逃しがちになります。
卵巣がんのリスクと自覚症状に注意が必要です。
卵巣がんのリスク
卵巣がんを発症しやすい要因としては、主に次の4つが挙げられます。
- 妊娠・出産歴がない
- 40歳代以上
- 卵巣チョコレートのう胞がある
- 家族・親戚(せき)に卵巣がん・乳がん歴がある
卵巣がんの治療
治療の柱は、手術と抗がん剤治療です。手術の場合は、がんの広がり方で手術方法が決まります。
卵巣がんとは?発症しやすい原因や治療法について詳しく知りたい方はこちら
最新の放射線治療
がんのなかには、積極的に放射線治療を行うものがあります。放射線治療とは、がん細胞に放射線を照射して消失させる治療法です。
放射線治療そのものに痛みはありません。手術のように体にメスを入れることがないので、体への負担が少ない治療といえます。手術ができない場合や、高齢で手術に抵抗がある場合などには、がん治療の重要な選択肢の1つとなっています。
早期の子宮頸がんでの適応
放射線が非常に効ききやすく、高い効果が期待できるがんが、子宮頸がんです。特に早期の子宮頸がんで積極的に放射線治療が行われるようになっています。
主な副作用
- 治療中の副作用
「吐き気」や「下痢」 - 治療後の副作用
「直腸炎による血便」「膀胱(ぼうこう)炎による血尿」「小腸炎による腸閉塞(そく)」
などがあります。
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