【歯を失った時】ブリッジ・入れ歯・インプラントによる義歯治療

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義歯のタイプ

義歯のタイプ

歯周病や虫歯などで歯を失った場合、見た目を良くし、食べ物をかむ力を維持し、残った歯を良好な状態に保つためにも、ブリッジや入れ歯などの義歯を使うことが欠かせません。

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歯を失った状態のままにしていると、その隣や真上の歯などが不安定になってしまうことで位置がずれ、その結果、かみ合わせが悪化します。残った歯を安定させるのも、義歯を使う目的といえます。
義歯には、ブリッジや入れ歯、インプラントなどがありますが、義歯を使う際は、歯科医師から、使用できる義歯の種類や特徴、長所、短所、治療法などについて説明を受け、よく理解したうえで選ぶことが大事です。

義歯を選ぶ際のポイントは、失った歯の数が何本までなら使用できるか、治療や装着に伴う身体的な負担、装着による違和感の程度、かむ能力、見た目、費用、掃除のしやすさ、適用が難しいのはどんな場合か、などがあげられます。

義歯による治療法1 人工の歯を固定するブリッジ

義歯による治療法
義歯による治療法

ブリッジは、失った歯の両隣の歯を削った上で、それらの歯を土台に橋をかけるようにして、人工の歯を固定する方法です。右側の写真がブリッジが固定された状態です。

ブリッジにするには両隣の歯が健康であることが条件で、失った歯が1~3本までが使用の目安となります。固定式のため、装着による違和感が少なく、見た目も自然で、健康なときの歯と同程度にかむ力が保たれます。短所は、両隣の歯を大きく削る必要があること、固定式のため、掃除がしにくいことです。健康保険が適用できるタイプが多く、費用の目安は3割負担で2~5万円ほどです。

義歯による治療法2 入れ歯、人工の歯を埋め込むインプラント

部分入れ歯

部分入れ歯

部分入れ歯は、失った歯が何本でも、とびとびであっても、条件に合わせてつくることができます。金具をひっかけるために歯をわずかに削るだけなので、身体的な負担は少なくて済みます。着脱式のため、掃除がしやすいのも長所です。短所は、装着により違和感を感じやすいことと、かむ力が健康なときの40%程度に低下することです。

外から金具が見えるため、人によっては見た目が気になる場合もあります。健康保険が適用できるタイプが多く、費用の目安は3割負担で1~2万円ほどです。

マグネット式入れ歯

マグネット式入れ歯

マグネット式入れ歯は、失った歯の根っこにあたる歯根の上に小型の磁石をつけ、その上に小型の磁石を埋めた入れ歯を装着する方法です。失った歯が何本でも、歯根が残っていれば使用できます。強い磁石でくっつけるため装着による違和感が少なく、見た目も自然で、かむ力は健康なときの60~80%程度と比較的保たれます。

人工の歯のほうは着脱式のため掃除がしやすいのですが、歯根側の磁石は外せないため掃除しづらくなります。短所は、健康保険が適用できないため高額なことです。費用の目安は30~40万円ほどです。

インプラント

インプラント

インプラントは、歯を失った部分のあごの骨に、チタンなどでできた人工の歯根を手術で埋め込み、その上に人工の歯を固定する方法です。インプラントの手術をするには、あごの骨が健康であることが条件です。

埋め込んで固定するため装着による違和感がほとんどなく、見た目も自然で、かむ力は健康なときとほぼ同等に保たれます。短所は、手術による身体的な負担が大きいことや、固定式による掃除のしにくさなどです。また、糖尿病のある人やヘビースモーカー、重度の歯周病であごの骨の状態がよくない人などは、手術の適用が難しくなります。健康保険が適用できないため高額で、費用の目安は1本あたり30~40万円ほどです。

義歯をつけてからの対処法

義歯をつけてからの対処

義歯の状態を良好に保ち、ほかの歯を守るために、まず欠かせないのが掃除や手入れです。
義歯の汚れは、周辺の粘膜に炎症を起こす口内炎や、周りの歯が歯周病を起こす原因となります。入れ歯を掃除するときは、取り外して歯ブラシで全体をみがいた上で洗浄液につけましょう。
ブリッジやインプラントなど固定式の場合は、歯ブラシで磨く以外に、専用のデンタルフロスや歯間ブラシなどを使って義歯と歯ぐきの間を念入りに掃除する必要があります。歯科医に確認した上で、指示された方法で行うようにしてください。

義歯を入れた直後というのは、いわば試用期間といえます。実際に使ってみると不具合が出る可能性があるので、治療後しばらくは歯科医で点検や調整を行う必要があります。その後も定期的に歯科を受診し、義歯や、周辺の歯や粘膜の状態のチェックを受けるようにしてください。

自分のほかの歯を埋め込む自家移植

自家移植とは

移植した歯はどれ?

歯の自家移植は、虫歯やけがなどで歯を失ったときの治療法の1つです。歯を失った直後でなくても、歯が1本ない状態で長年過ごしてきた結果、噛み合わせが悪くなった場合などにも行われます。多くの場合は矯正歯科治療を伴うので、自由診療となります。自家移植のみであれば健康保険が適用されます。

自家移植では、「口の中に生えている、虫歯のない健康な親知らず」か、「矯正歯科治療などで抜く予定のある歯」が使われます。親知らずの場合は、根がまっすぐ伸びていることも欠かせない条件です。歯並びに合うように削る、形を整える、向きを変えるなど、調整して使います。ほかに自家移植に利用できそうな歯がある場合は、その歯の形や大きさ、根の状態、また移植する側の骨の幅などが適切かどうか、エックス線検査やCT検査などを行って判断します。

自家移植が可能な場合は、まず歯が抜けている部分のスペースを確保するために、ワイヤーなどを使って隣接する歯を起こす処置が行われます。これには、早い人でも3~4か月かかります。準備が整えば、活用する親知らずなどを抜いて、歯のない部分に埋め込みます。

移植したあとに注意すべきポイント

移植後のケア

移植した歯をできるだけ長持ちさせるためには、術後のケアをしっかり行うことが大切です。自家移植後、1~2か月は、歯を樹脂で固定しています。移植直後から1週間後までは歯科医院でしっかりプラークコントロールをし、その後も、しばらくは柔らかい歯ブラシでケアを行います。

移植してから2週間ごろからは神経の処置を行います。その後、樹脂による固定をはずし、ワイヤーで歯の位置を調整する矯正歯科治療も始めます。このときは歯の位置を少しずつ動かすことが大切です。自家移植のメリットの1つは歯根膜ごと移植できることなので、移植後も歯根膜が保たれるよう、数か月~1年ほどかけて調整しながら矯正していきます。

『Q&Aブリッジと入れ歯』はこちら

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    歯と口の健康を保つ「ブリッジと入れ歯」
  • きょうの健康 放送
    歯の自家移植