【患者体験談】自分の歯(親知らず)を自家移植

更新日

虫歯 歯が痛い 歯・歯肉

歯を失ったとき -私のチョイス-

自分の歯を移植!?

Aさんは、6年前に奥歯に違和感を覚え、近所の歯科を受診しました。すると検査の結果、虫歯が進行して歯の根が折れてしまっていたことが分かり、歯を抜くことになってしまいました。

歯を失ったあとの選択肢は、失った歯の両隣の歯を削って土台をつくり人工の歯を支える「ブリッジ」や、人工の歯の金具を両隣の歯にひっかけて固定する「部分入れ歯」、あごの骨に人工的な歯の根を埋め込む「インプラント」などが一般的です。しかし、Aさんがチョイスしたのは、そのどれでもありませんでした。選んだのは「歯の自家移植」です。

歯を移植する方法とは?

自家移植とは、「親知らず」など、機能していない自分の歯を抜いて、それを歯を失った部分に移植する治療法です。

移植の手順は、まず、麻酔をして親知らずを抜きます。親知らずは移植するスペースに合うように形を調整します。そして歯茎を切開し、角度を調整しながら親知らずを入れます。最後に歯ぐきを縫合して、メッシュ板と呼ばれる金属の帯で移植した歯を固定します。
1か月ほどたてば傷口は治り、移植した歯は完全に歯ぐきとくっつきます。2か月もすれば、移植をした歯を使って食べることもできます。

Aさんは自家移植してから6年ほど経ちましたが、違和感もなく、ほかの歯との違いも感じないといいます。

「日常生活で、移植した歯だということを意識することはないですね。自分にとっては、これがベストの選択でした。」

インプラントと比較すると?

Bさんも自家移植をした一人です。
実は、Bさんは自家移植をする前に別の歯をインプラントで治療していました。両方の治療を受け、その違いを実感しています。

「自家移植した歯は、インプラントに比べて、かみ心地が違いますね。インプラントは土台が金属なので。自家移植した歯は微妙にへこんでくれるっていうんでしょうか、サスペンションが効いているような感じ。」

歯と骨の間には「歯根膜」という膜があり、クッションの役割をしています。また、「硬い」「柔らかい」などという、ものをかんだときの感触を伝える働きもします。自家移植の場合、この歯根膜を歯と共に移植をすることができるので、かみ心地がよく感じられると考えられています。

この記事は以下の番組から作成しています

  • チョイス 放送
    「歯科最新情報(1)歯を失ったとき」