鹿児島でも目にする2車線→右折後3車線の道路 どう走れば?
- 2023年02月17日
視聴者からの疑問にこたえる「かごしま調査団」に今回寄せられた調査依頼は、道路の走り方についてです。
「2車線とも右折レーンで進行方向が3車線になっていた場合(中略)3車線のうちどの車線に入るように進めばよいのでしょうか」
というお尋ねでした。気になるその答えとは・・・?取材の経緯も含めて、お伝えします。
(鹿児島局記者 柳沢直己)
事故の危険も 正しい走り方は?
訪れたのは、鹿児島市南郡元町の産業道路入口交差点です。右折できる2車線が、片側3車線に交わっています。鹿児島市宇宿の金属団地入口交差点や、鹿児島市東開町のグラード東開横の交差点も同じような道路ですが、多くの人がイメージしやすいであろうこの場所を、最終的に選びました。
走行する車の様子を見てみると、どちらのレーンから右折したかに関係なく、入る車線は1台1台違うという結果になりました。例えば、左側の右折レーンから右折後、一番左の車線に入る車(青矢印)や、真ん中の車線に入る車(赤矢印)が確認できました。なかには、それぞれの右折レーンから右折後、真ん中の車線に入ろうとした車同士が、ぶつかりそうになる場面もありました。
いったい、どの車線に入るのが正しいのか。道路の交通を管理している警察に聞きました。その回答とは…。
「決まりはありません」
曲がったあとに入るべき車線は、決まっていないというのです。ただ、そうしたなかでも、警察はなるべく次のような走行をすることが、安全につながるとしています。
▼右折後、左側に目的地があるならば、左の右折レーンから右折し、左車線に進入。
▼右折後、右側に目的地があるならば、右の右折レーンから右折し、右車線に進入。
こうすることで、車同士が交差し、衝突する危険性が少なくなります。また、目的地から遠い右折レーンに入ってしまっても、交差点を曲がりきったあとに車線変更すると安全だということです。
ハード面の対策は?
では、安全のために、道路管理者ができる対策はないのでしょうか。寄せられた疑問には、こんなことも書かれていました。
「レーンに色分けでもあればまだ危険は低いかもしれません」
色分けというと、産業道路入口に近い紫原団地入口が思い浮かぶ人も多いと思います。色分けされていて、どの車線を走るべきかが分かりやすくなっています。
そこで、国土交通省に、色分けについて聞いてみました。それによると、基本的に色分けは、交差点ではなく車線が増えて行き先が分かりにくいような道路で行われるものなのだそうです。
重要な運転手の心がけ
明確なルールや色分けといった対策がないとなると、運転手の心がけが重要になります。そこで、車のトラブルに対応するロードサービスを行っているJAFに、何に気をつけて運転するべきなのか聞きました。
並列して右折する車同士がお互いスピードを出しすぎないというのが大事だと思います。スピードを出している場合ですと、どうしても大きくまわってしまう可能性がありますので、スピードをちゃんとゆるめて減速してから安全に右折(左折も)できれば、事故の可能性は低くなると思います。
車間距離も大事です。前の車がブレーキを踏んでしまったときに車間距離を詰めすぎていると、それも事故の原因になりますので、車間距離を十分とって、安全確認を徹底していただきたいなと思います。また、周りのドライバーなどへの思いやりがあれば、事故を防げるのではないかなと思っています
そして、もうひとつ原山さんが指摘していたのが予測です。隣の車のスピードが出ていた場合、大回りになって近づいてくる可能性があります。また、前の車が交差点の先の横断歩道に人を見つけて、急に止まるかもしれません。そのため、余裕を持つことと予測することが大切だということです。
取材後記
実は今回のお尋ねは、およそ1年前に届いていたものでした。この間、もうひとつのお尋ねの「色分け」も含めて、記事の中で紹介した警察だけでなく、国土交通省などさまざまなところに答えを求めて話を聞き続けました。
ただ、返ってきたのはいずれも「決まりはない」というもの。中には「そんなことを聞かれるとは考えたこともなかった」「なんでそんなことを疑問に感じるのか不思議だ」という回答もありました。
ただ、だからといって問題はないと言い切ることもできませんでした。実際に、あわや事故を起こしかけていた車を取材中に目撃していたからです。鹿児島市の中心部は、国土交通省の調査で「渋滞する可能性がある」道路の割合が全国で最も高いなど、道路事情には課題が山積しています。これからも視聴者の皆様からいただく素朴な疑問を追い続けていきたいと思います。
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