セレッソ大阪に加入 大迫塁選手の原点は父のラーメン屋
- 2023年02月15日
この春、神村学園からJ1・セレッソ大阪に加入する大迫塁選手。プロサッカー選手としての歩みを始める大迫選手が育った場所は、実家のラーメン店。原点ともいえる場所で、新天地での挑戦にかける思いを聞きました。
(鹿児島局 松尾誠悟記者)
加入内定は異例の高校2年
神村学園のキャプテンとしてチームを率い、この冬の全国高校サッカー選手権ベストフォー入りの原動力となった大迫塁選手。得意の左足でチャンスを演出し、得点力も兼ね備えたミッドフィルダーです。
複数のクラブが興味を示していましたが、1年前の高校2年生の2月に異例の早さでJ1セレッソ大阪への加入が内定し、この春からチームに合流しました。将来は日本代表を担う選手としての活躍が期待されています。
「セレッソの一員になれたと思えてうれしいです。プロのピッチで早くプレーをしてたくさんの方々に笑顔を届けられるような選手になりたい」
実家は地元で愛されるラーメン店
大迫選手の原点ともいえる場所が鹿児島市の谷山にある実家の老舗ラーメン店です。豚骨ベースにネギやニンニクなどの香味油が香る昔ながらの鹿児島ラーメンが自慢で、父親の隆二さんが2代目として45年続くのれんを守っています。
おととし亡くなった歌手の西郷輝彦さんもよく訪れるなど地元で愛される店で、店内には西郷さんが生まれたばかりの大迫選手をだっこしている写真も飾られています。
実家のラーメンは大迫選手が、試合前にほとんど欠かさず食べた勝負メシ。鹿児島から大阪へ旅立つ前には、チームメートも食べに来ました。
「いつも麺硬めでおなかすいたときは大を頼みます。試合に向けてしっかり食べて、活力をつけるために食べていました。プロに行ったら食事面とかでいうと、本当は試合前にラーメンとかよくないと思うので、シーズン中は我慢して帰ってきてから食べられたらと思いますね」
大迫選手のラーメンの食べっぷりのよさに、記者が思わず「いい食べっぷりですね」と言うと、父の隆二さんは「いい食べっぷり?慣れてるから」とにやっと笑い、「食べられるときには食べるって感じで、遠征先に行ったりするときは無理だけど、小学校のときからそんな感じです」と教えてくれました。
強豪でキャプテンとして苦悩も
大迫選手がサッカーを始めたきっかけも実家のラーメン店にありました。店に来る近所のお兄ちゃんたちと一緒に遊んだことがきっかけで始めたのです。
家族が撮影した小さいころの映像には、店の前でボールを蹴る大迫選手の様子が映っていました。サッカーを始めたのは6歳のころで、始めて1年以内にはリフティングが100回できるようになってといいます。
「兄ちゃんたちと遊ぶときも6歳、7歳ぐらい離れていても負けないぐらい元気でうるさい、元気な感じの子だったと思います。雨のなかでも泥だらけになりながらでもサッカーをしていたって小学校のときの監督は言っていましたね」
中学からはサッカーの強豪、神村学園の門をたたき、世代別の日本代表にも選ばるまでに成長。高校3年になると、部員80人近いチームのキャプテンも任されました。しかし、日本一を目指したチームは夏の全国高校総体で初戦敗退するなど、キャプテンとして苦悩もあったといいます。
「全員がバラバラになったりとか、チームに対していろいろ不満を持っている状況もあったし、結果もついてこないときも多かったので、本当苦しくてほんとやめたいなって思うときもありました」
そんなときは父、隆二さんに弱音をもらすときもあったと言います。
「やめたいというか、涙を流しながら電話で遠征先から電話がかかってきて。親としては本当心配だった。それでも彼は責任感がある子なんでやれると信じてました」
キャプテンとして背負いすぎる大迫選手に隆二さんは寄り添い、いつもの一杯で支え続けました。
「結果として最後の全国高校サッカー選手権で国立競技場にも行けてチームとしていいチームになれたのでキャプテンしてよかったなと思います。店忙しいなかでもサッカーの練習をしてくれたり、熱心な家族なので本当に感謝しています」
夢は日本代表でW杯優勝
大迫塁選手と同じく神村学園で中学、高校の6年間を過ごした福田師王選手は、ドイツ1部リーグのメンヘングラートバッハへ加入し、海外での挑戦を始めました。
高校時代、ホットラインでわかせた相方の挑戦について、大迫選手はゆくゆくは自分も海外で挑戦したいと話します。その先に見据える小さいころから変わらない夢は、日本代表になってワールドカップで優勝することです。
「セレッソの顔となれるように頑張って、日本一のチームにしてから海外に行きたい。去年のワールドカップで日本代表がすごい活躍をしてくれて、それをテレビで見て感動したので、次は感動を与えられる側になりたい」
日の丸を目指す大迫選手に最後に、プロとしてどんな選手になりたいか聞きました。色紙に書いてもらうと、「笑」の一文字でした。
大迫選手は「自分自身、笑顔がいいねってよく言ってもらえるので、きついときでも笑顔で。自分のプレーでいろんな人が熱狂したり、笑顔になるような選手になりたい」と言って、ニコニコと笑顔を見せました。
チームがリードされたときも、笑顔で仲間を元気づけて逆転劇につなげてきた大迫選手。大好きな「鹿児島ラーメン」はしばらくおあずけですが、プロの世界へ羽ばたきます。