放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

04.10.01欧州評議会,公共サービス放送の擁護を要請

ヨーロッパ45か国が加盟する欧州評議会の意思決定機関の閣僚委員会は,10月4日に公表した見解のなかで,メディア環境が変化しても,公共サービス放送が,民主主義社会,社会的結束,相互理解と寛容の精神に基づく国際関係の維持のため,中心的役割を果たし続けなければならないとする考えを示した。閣僚委員会見解は,各国政府に対しては公共サービス放送事業者の編集の独立性と組織的自立に対する干渉を控えること,各国議会には公共サービス放送が機能を果たすため,適切な法的,制度的,財政的枠組みを設けることを求めた。

04.10.01仏地上デジタル放送,再び開始を延期か

04.10.01スイス,ラジオ国際放送を終了

スイスの公共放送の統括組織SRG SSRの一部門であるswissinfo/Schweizer Radio International(SRI)が行っていたラジオ国際放送が,10月30日をもって終了し,69年の歴史に幕を閉じた。スイスのラジオ国際放送は1935年9月に開始,第2次世界大戦時と冷戦期には,中立的で信頼できる報道として評価が高かった。しかし冷戦の終結,衛星放送やインターネット技術の発展,そして政府交付金の撤廃の決定により,2001年にはラジオ国際放送廃止の方針が決まっていた。SRIの今後の国外向けの情報発信は,1999年に開設されたインターネット上のマルチメディア・プラットフォーム(www.swissinfo.org)で,日本語を含む9か国語で,引き続き行われる。

04.10.01独商業テレビProSiebenが無料テレビ初のHDTV放送

大手商業テレビのProSiebenは,10月14日,20時15分から約2時間にわたり,番組をHDTVでもサイマル放送した。番組は,ProSiebenと英BBCの共同制作によるライオンの冒険を扱ったもので,アストラ衛星のHDTVチャンネルを使用した。ドイツの無料テレビでHDの番組が放送されたのはこれが初めてである。

04.10.01独,州首相会議が受信料改定答申を修正して承認

04.10.01伊,地上デジタルで双方向公共サービスチャンネルを開始

公共放送RAIの地上デジタル波上の新チャンネルとして,Rai Utile(ライ・ウーティレ)が10月25日から放送を開始した。これは,RAIと行政機関が協力して,双方向サービスを提供する専門チャンネル。番組は,消費,家庭,環境,社会,趣味・娯楽の5つをテーマにした情報番組のほか,交通情報や災害情報などで,行政と国民の距離を近づけるねらい。これまで窓口受付で時間がかかることが多かった各公共機関との支払い手続きを含め,さまざまな双方向サービスを実現するために,RAIは,現在の銀行間決済システムで使用されているものと同系統の磁気カードを開発中である。将来的には同カードでPPV(ペイ・パー・ビュー)を含め,RAIのさまざまな番組コンテンツにアクセスできるようにしたいとしている。

04.10.01仏CSA,FMラジオ用周波数表改定で意見公募

FMラジオ用の周波数が不足しているフランスで,CSAは10月12日,周波数表の改定に向けた意見公募を開始した。多くの商業ラジオ局の免許は,上限である2回の自動更新をすでに受けており,2006年から2008年にかけて免許期間満了となる。これを機会に,新たな免許公募に先立って,これまでの周波数表を見直し,周波数の合理的な利用をはかることが目的である。意見提出の締め切りは2005年1月31日。

04.10.01英解説放送,衛星デジタルでも開始

イギリスのBBC,ITV,およびチャンネル4の3社は10月13日から,各チャンネルの視覚障害者向けの解説放送を衛星デジタル放送Sky Digitalでも開始した。解説放送は,画面で起きている状況を音声で解説するサービスで,公共サービスチャンネルであるBBC,ITV,チャンネル4,チャンネル5は,少なくとも年間放送時間の6%を解説放送にする法的義務付けがある。3社は,衛星放送でもBSkyBと契約せずに無料で受信できるようにするため,全国視覚障害者協会(RNIB)やメーカーと協力し,衛星放送でも既存のRNIB認定の受信機に適合する解説放送システムの開発を行ってきた。地上デジタルテレビ放送Freeviewについてはすでに,Netgemが制作した外付けタイプの受信機で解説放送が利用されている。