放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

04.10.01中国,CCTVが有料チャンネルでHBO配信へ

中国中央テレビ(CCTV)は,アメリカのタイムワーナー系の映画チャンネルHBOをケーブルの有料チャンネルで放送することになり,10月20日,系列のデジタルテレビ制作会社とHBO Asiaの間で合意書が交わされた。合意によると,HBOはCCTVの映画・娯楽チャンネル向けに,2005年1月から番組ソフトを供給することになっている。CCTVは,現在,上海・重慶・四川などで行っている6チャンネルの有料放送の契約を年内に15万件にまで増やすとともに,今後有料放送のサービスを中国本土の50の都市に広げたいとしている。

04.10.01台湾,総統とテレビキャスターが訴訟合戦

台湾の陳水扁総統は10月21日,テレビキャスターの趙少康氏と野党親民党の2人の立法委員(国会議員)を名誉棄損で台北地裁に訴えた。これに対し趙少康氏は29日,陳総統が自分を暗に「鬼」と言って名誉を棄損したなどとして,陳総統と総統府の秘書長を名誉棄損で訴えた。これは陳総統が,10月のパナマ訪問の際,女性の前大統領に対しセクハラを行い,お詫びとして100万ドル支払ったとのネット上の情報を,趙氏が18日のテレビ番組でそのまま伝え,これを野党の立法委員が引用したのが発端である。この情報について,総統府側は「全くの事実無根」とし,趙氏側は確認作業をしたかどうかなど詳細を明らかにしていない。台湾のメディア関係者によると,今回の訴訟合戦は12月の立法院選挙を前にしたメディアと政界関係者のパフォーマンスの色彩が強いという。

04.10.01ベトナム,国営テレビがDTHによる衛星放送を開始

ベトナムの国営テレビVTVが,10月1日,国内の視聴者が直接受信して視聴できる衛星放送を開始した。開始当初は自局の5チャンネルのみであったが,11 月1日からは更に11チャンネルが加わり計16チャンネルとなった。将来的には32チャンネルまで可能とされている。来年1月までは無料で提供されるが,その後は月間視聴料金65,000ドン(約500円)の有料サービスとなる。VTVがDTHによる国内向け衛星放送を始めた背景には,新たな財源確保のねらいがあると見られている。

04.10.01タイ,NTCが発足し4か年事業計画策定へ

難産の末ようやく発足したNTC(National Telecommunication Commission,国家電気通信委員会)が,10月11日,初会合を開き,年内に通信事業の4か年計画をまとめ,来年初めから実施する方針を決定した。NTCは,2000年,国内の通信行政を統括し,通信市場の自由化を図る政府機関として設置が決められていたが,委員の人選が難航し,2004年9月末,ようやく発足した。初代委員長はチュチャート陸軍大将。今後NTCは,周波数割り当ての権限を持つNBC(National Broadcasting Commission,国家放送委員会)の発足を待って,NBCとともに放送業界の再編にも取り組むことになる。

04.10.01タイ,インターネットによるテレビ番組の提供開始へ

タイの通信大手TRUE(True Corporation)と,その系列会社で有料テレビ最大手のUBCは,10月29日,インターネットを使ってテレビ番組を提供する計画を発表した。 TRUEのADSL回線加入者はインターネット上でUBCの番組を見ることができるようになる。1か月間試験運用を行い,来年半ばまでには本格運用を開始する予定である。

また,タクシン首相の親族が所有するShin Corporationも,TOT(旧電話公団)の回線利用者を対象に,インターネットによるテレビ番組の提供を12月にも開始する方向で準備を進めている。

04.10.01豪,ニューズ・コープ本社の米国移転が正式決定

南オーストラリア州アデレードに本社を置いている多国籍メディア企業ニューズ・コープのアメリカ移転計画が,10月26日,株主総会で承認された。これでニューズ・コープは名実ともにアメリカ企業となり,11月中旬からニューヨーク株式市場で株が取引される。同社は移転の理由を,グループ企業全体の収益の 75%以上がアメリカで上げられているためとしているが,オーストラリア国内では,国際的メディア企業の海外流失ととらえて移転に反対する声もあった。アデレードはルパート・マードック会長の出身地。