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仏地上デジタル放送,再び開始を延期か

2005年3月に開始予定のフランスの地上デジタル放送は,延期される可能性が出てきた。

F1による審査請求を審理していたコンセイユ・デタ(国務院)は10月20日,TF1の主張を認める決定を下した。TF1は,CSAが2003年6月に交付した23局の放送免許のうち,ラガルデール・グループに交付した2局の免許は,その親会社にカナル・プラスが49%を出資していることから,カナル・プラスの免許としてもカウントすべきと主張していた。国務院はこの主張を認め,カナル・プラスは放送法に定めた免許数の上限に違反しているとして,この2局と,カナル・プラスに交付された4局の計6局の免許を取り消した。

これを受けた規制機関のCSAは22日,改めて6局分の免許公募を実施するため,その前提となる意見公募を開始した。締め切りは11月30日。その後,免許公募,応募者の書類審査,公開オーディション,免許者の決定,各種の義務を定める協約の作成とその締結,免許交付という手続きを経る必要がある。

一方,7月に首相から委嘱を受けていたド・モンプレジール国民議会議運委理事の報告書「デジタルテレビとHD」が21日,首相に提出された。報告書は,すべての媒体においてHDTVの放送が必要であるとして,HDTV導入のため放送開始を延期するよう提言した。首相は21日,政府部内の協議を経て決定すると発表した。

免許交付のスケジュールや,報告書の結論を考慮すると,放送開始が延期される可能性がある。

豊田一夫