アナウンサーの千野秀和です。
　「ちの」という名字はちょっと珍しく、「千葉」「千田」という書き間違い、「せんの」「ちや」「ひの」という読み間違いなどが起こります。でもそのたびに「千野です！」と名乗るチャンスがある訳で、放送に出る身としてはこんなに名前をアピールする機会がある名字でありがたいと思っています。

歴史と伝統、そしてラジオ好き

　こどもの頃から歴史や古美術が好きで、大学の専攻も史学科。初めて勤務した金沢では日本伝統工芸展の司会を務め、輪島塗や山中漆器、九谷焼といった地域の伝統工芸、それを産みだす職人のみなさんを取材しました。
　コロナ禍の京都局では、観光客の姿がない中、ゆっくり神社仏閣を見て回りました。はるか昔の出来事も文書で残っている京都ならではの、宗教、美術、戦乱、災害、さまざまな歴史の話も伺うことができ、私の教養を高めていただきました。
　この京都では「FM特集　京このごろ」という月１回の長尺のラジオ番組を提案し、司会兼ディレクターとして放送しました。イベントの中止で学生生活をおう歌できない高校生のバンド演奏や生朗読のパフォーマンスを披露してもらったり、大原地区で本格的な農業に挑む大学生など、状況に負けずチャレンジする若者の声をじっくり聞いて届ける番組でした。
　私は東京ではラジオセンターに所属し、音声波の「マイあさ！」「すっぴん」といったレギュラー番組や特集番組の制作・司会を担当してきました。テレビのようにカメラマン、編集マン、さまざまなセットや小道具もいらないラジオ番組は、少人数で伝えたいことを伝えきることができるメディアです。そのため、６時間半にわたる全国放送の防災番組や、海外取材として中国で四川大地震の震源地や上海、大連といった経済発展著しい地域を回り、それぞれ特集番組を制作するなどほぼ１人で作り上げ、伝えることができます。アニメをもとに声優のみなさんによるボイスドラマや推理クイズ番組も作りました。
こどもの頃からラジオっ子だったので、TVのキャスターを務める一方、つい音声波でおもしろいことがしたいなぁと考えてしまいます。

災害への備えを伝え続けて

　一方で、2007年の能登半島地震で現地取材を担当してから、災害現場の取材が多くなりました。
新潟県中越沖地震や毎年やってくる台風などの豪雨災害を中継・リポートで伝え、東京勤務の時には中国・四川大地震の震源地を取材、その復興の様子を伝えたり最新の防災対策を伝える6時間半にわたるラジオの特集番組を制作し、自ら司会を務めたりと、「災害への備え」が自分の仕事の主軸になっていました。
その後、東日本大震災。1週間かけて東北被災地を縦断し、特集番組を制作しました。西日本豪雨でも親子の視点での防災対策を考え、北海道胆振東部地震が起きると発生当日に現地へ。停電の中、衛星電話で現状を伝えました。
そして、2024年元日の能登半島地震。初任地であり、特に能登地方出の取材が多かったことから現地取材を担当。道案内をしながら七尾市や輪島市、穴水町に赴き、地震直後の能登の状況を全国に伝えました。
現在勤務する高知県でも、南海トラフ巨大地震への備えが急務。「南海地震に備えちょき」という防災番組を5年にわたり制作し、地元のみなさんと命を守る防災について考え続けました。

高知局の顔として頑張ります！

　2024年度は、春から県域ニュース情報番組「こうちいちばん」、月1回の特集番組「とさ金」のキャスターを務めます。高知の歴史や伝統に触れ、地域のみなさんの声に耳を傾け、いざという時、その命と暮らしを守るための備えを一緒に考えます（やや堅苦しくなりました、日頃は柔らかく、ふわっと過ごしていますので、下のプロフィールものぞいてみてください）。