ページの本文へ

こうちWEB特集

  1. NHK高知
  2. こうちWEB特集
  3. すべて読めます!高知の漫画文化を小野大輔さんと語ってみた

すべて読めます!高知の漫画文化を小野大輔さんと語ってみた

「とさ金」放送内容のまとめ。小野さんのインタビュー全収録!
  • 2023年11月30日

まんが王国・土佐」を名乗る高知県には、日本を代表する漫画家がいっぱい!街にも漫画があふれ、かけがえのない文化資源となっています。高知の人々にとっての漫画とは。そして、漫画の持つ力とは。声優・小野大輔さんとその未来を描いてみました。
(高知放送局アナウンサー千野秀和)

高知の漫画文化を小野大輔さんと語る

今回のとさ金、テーマは「まんが」。高知は県みずからまんが王国を名乗るほどまんが文化が盛んです。これまでにおよそ80人の漫画家が生まれ、まんがにちなんだイベントも数多く開かれています。そのひとつ、今月行われた「こうちまんがフェスティバル」通称「まんさい」に注目し、高知のまんが文化が持つ価値、そしてまんが文化の目指す未来に迫ります。ともに語っていただいたのが、佐川町出身でまんさい親善大使でもある声優の小野大輔さん

千野アナ

まんがというとどんな思い出がありますか?

小野さん

少年時代に読んだスポーツまんが、例えばその『キャプテン翼』でサッカー始めて、そのあと中学時代に『スラムダンク』が流行りました。それでバスケに転向しまして(笑)めちゃくちゃ影響受けていますね。そして大学時代に『ジョジョ』にどはまりして。まだ何ものでもない自分がその未来、将来、何をしたいかとか、どんな風にこの先、道を歩んで行くか、背中を押してもらったような、勇気をもらったようなそんな記憶もあります。

小野さんは高知の漫画家の作品では安倍夜郎さんの「深夜食堂」が好きとのこと。

小野さん

高知の漫画を読んでいると、自然とか、その人の温かさを感じる作品が多いと思います。『アンパンマン』なんかまさしくそうですね。困っている人がいたら放っておけない、お腹が空いているならこれを食べなよって差し出せる。高知の人にもそのマインドがある気がします。

高知ならではの漫画文化を発信!「まんさい」とは

高知のまんが文化を象徴するイベントが11月上旬に行われました。今年20回目を迎えた、高知が誇るまんがのイベント「まんさい」。4年ぶりの通常開催となり2日間で8,000人以上が訪れました。デジタルの機器を使って絵を描いたり、好きなキャラクターにコスプレしたり。人気声優たちが生で声をあてるアフレコショーも!

小野大輔さんをはじめ、森久保祥太郎さん、浪川大輔さん、井上喜久子さん、豊永利行さんなどの声優が生アフレコやトークショーに参加

県内外から漫画好きが集い、「みて」「かいて」「あそべる」、四国最大級のイベントです。

4コマまんが「フクちゃん」の横山隆一(よこやま・りゅういち)、「アンパンマン」のやなせたかし、そして、「土佐の一本釣り」の青柳裕介(あおやぎ・ゆうすけ)など、高知は日本の漫画文化をけん引した漫画家を数多く生みだしてきました。
高知県は、1988年、「まんが王国・土佐」を宣言。その後、高校生の祭典「まんが甲子園」の開催や横山隆一記念まんが館やまんがの描き方を学べる「高知まんがBASE」などの拠点作りで、漫画で地域ににぎわいを生み出し続けてきました。
「まんさい」の前身となる「こうちまんがフェスティバル」は、2003年からスタート。そのイベントを大きく育てるのに貢献してきたのが、実行委員長の吉村領(よしむら・りょう)さんです。

吉村さん「この熱気久々やねえって思いゆう。びっしりイスも埋まって机も埋まってずっとぎっちり描きゆうき最高、最高ですよ」
青柳裕介さん

吉村さんの父親は、『土佐の一本釣り』で知られる漫画家・青柳裕介さん。その舞台となった中土佐町久礼(なかとさちょう・くれ)に仕事場をかまえ、町の空気を漫画に描き、全国に届けました。

高知・久礼の港町に暮らす人々を描き、映画化されるなど異例の大ヒット作に
吉村さん

(父は)『地元にいないと土佐の空気を高知の空気を吸ってないと漫画をかけないんだ』と。父親が残した人の縁っていうのが全部残っているわけですよ。いろんな人たちにその恩恵をつなげられるのは息子だけやと思ってね。

青柳さんは「まんさい」の始まる2年前に亡くなりました。吉村さんは、父とゆかりのあった出版社や企業に声をかけ、資金を集め、ゲストを招きました。活動する中で、父をはじめ、多くの人が高知の漫画を支えてくれていたことをあらためて知ったと言います。

吉村さん

出版の形で頑張ってくれた人、漫画家の先輩の先生方、やなせ先生も含めてそういった方々が高知に目を向けよう高知に目を向けようとし続けてきた活動が実を結んで、今もみんなが高知に応援をしてくれている。「まんさい」には、初めて漫画とアニメの楽しさに触れる場所っていう役割があるんです。その後楽しかった思い出が自分も描こうとかそういう風に育っていくものなので、高知には「よさこい」あるけど「まんさい」もあるよね。両方100年以上続いちゅうやんって未来が来てほしい

まんさい実行委員長・吉村さんについて、みずからも参加している小野さんに聞きました。
 

小野さん

一言で言うとまんが界の坂本龍馬みたいな方。今こうして高知をまんがとアニメで盛り上げていくっていうことが、なんか未来の高知につながっていくんだなっていうのを感じますし、だから僕もつなげていきたいと思いました。

千野アナ

ではどんな風に「まんさい」に関わりたい、盛り上げていきたいですか?

小野さん

僕ら声優が一番上手に表現できること、僕らがやるべきことは、演技をするということだと思うんですよ。それが「まんさい」でもできないかなっていうことをお話しました。築き上げてきたまんが文化に新しくコンテンツを持ち込むことで、相乗効果で高知のまんが・アニメ文化が次の世代に向けて育っていくといいな。

「薄桜鬼」の朗読劇を小野さんみずから企画
🄫IDEA FACTORY/DESIGN FACTORY

なぜ高知で、これほどまでにまんが文化が醸成されてきたのか。高知など日本の漫画文化を研究している高知大学の岩崎保道(いわさき・やすみち)教授に聞きました。

岩崎さん

1988年に当時の高知県知事がまんが王国・土佐を宣言しました。他の県でそういう風な政策的にまんがの取り組みを行うのは90年代後半だったので、高知におけるまんがを使った政策というのは他県に比べてパイオニア的であると言えます。高知では明治時代初期から、自由民権運動が非常に盛んな土地柄でした。そこで新聞における風刺画を通じて、市民に文章と挿絵が広がっていった。これが知らず知らずのうちに漫画が高知の市民に浸透していったひとつのきっかけになったのでは。

小野さん

「納得しましたね。何か情報を得たいとか表現したい、まんがが好きだ、アニメが好きだ、そういう情熱が湧き上がる土台が高知にはあるんだなっていうのを感じました。

まんが文化の継承と地域への広がり

高知では今も、漫画文化を次の世代に伝えていこうという動きが受け継がれています。

村岡さんの漫画体験コーナー

「まんさい」で、子どもたちの人気を集めていたブースが。いの町在住の漫画家、村岡マサヒロさんが子どもたちにお題を出して自由に絵を描いてもらうコーナーです。村岡さんは、高知新聞で『きんこん土佐日記』を2004年から連載。身近な高知の話題をユーモラスに描き、人気を集めています。

村岡マサヒロさん

村岡さん
一緒に楽しむっていうことをまず大事にしています。むしろ失敗したなって思う線でもそれが勢いとかになって、ごまかした方が面白かったりするので。まだ自分の見たことないような、すごい作品っていうのを作ってもらいたいなっていう風に思いますね」

村岡さんに影響を受けて、マンガのおもしろさに目覚めた人がいます。いの町に住む、長田寛斗(おさだ・かんと)さんです。

長田寛斗さん

長田さん
「小学校2年生ぐらいのとき、単行本が出てからサイン会が開かれるたびにサイン会に行っていました。それぐらいの勢いでした」

村岡さん独特のギャグに魅了された長田さん、やがて自分でもマンガを描くようになりました。

村岡さん(中央)と長田さん(右)

長田さん
「(村岡さんに)自分の描いた作品を見てもらってその時に「あ、これ面白いね」って初めて自分の作品を褒めてもらえた。マンガを描いてその描いたマンガで他の人が喜ぶ、それがすごくうれしくて、これを繰り返していくうちに自分も漫画家になろうと思うようになりました」

長田さんは、マンガ学科のある専門学校を卒業。その後も投稿を続け、入賞を果たしたこともあります。いま、長田さんは、プロを目指しながら、「高知まんがBASE」で働き、子どもたちにマンガの描き方を教えています。

長田さん:白を入れてあげて光を入れてあげて・・・
子ども:本当だ、きれいだぁ!

長田さん
「やっぱり楽しんで描くとか、そういうのは村岡さんから教わったことだと思いますね。あとはまんが甲子園があって、「まんさい」とかで遊んで。とにかくマンガに触れる機会がたくさんあったので、たぶん高知に生まれてなかったら漫画家を目指してなかったと思います。作品を読んで笑ってもらえて、今日はいい日だったなって思えるようなそういった漫画家になりたいです」

漫画で地域に貢献しようとする人たちも。
四万十市の中心部にある天神橋商店街。そのなかに、漫画好きが集う場所があります。8年前に発足した「四万十漫画倶楽部」。

人気漫画を模写する女の子に、大好きな船を描く男性。小学生から60代まで幅広い世代が参加しています。倶楽部を立ち上げた田辺リカさんと宮脇さなえさんに聞きました。

田辺さん
「場の提供をちょっと意識しているんです。横の繋がりができます、色々教えることもできます、同じようなことを考えている友達もできるかもしれませんよ、とか。部活動みたいなのを作りたいっていうのがきっかけでした」

地域にもっと漫画の輪を広げたいと、地元の中学校ではマンガ教室の講師も務めます。

宮脇さん
「地元の人たちが何かおもしろいことをしたいなって思っているときに、「じゃあ私絵描きます」「ポスター描きます」っていう形で地域の皆さんの力になれるような力を持つのが絵であったり漫画であったりすると思うので、そういうことができる人が1人でも増えたらいいなと思います」

結成から8年。四万十漫画倶楽部の活動の場は、年々広がっています。

商店街のパンフレットの似顔絵。地元の神社からの依頼で、かわいらしいキャラクターで祭りを紹介した冊子もつくりました。
四万十漫画倶楽部が、地域にとって欠かせない存在となるきっかけが、この一通の手紙。

「漫画家を志す子供たちが放課後集って漫画を描くスペースが欲しいのです」

差し出し人は、『深夜食堂』などで人気の漫画家、安倍夜郎(あべ・やろう)さん。地元の後輩たちが漫画倶楽部を立ち上げたことを知り、「活動拠点を提供してもらえないか」と、手紙を書いてくれたのです。

宮脇
「学校帰りに子どもたちがよれる場所であったりとか、あと天神橋のアーケードにどういうお店があるか知らない高校生や若い子たち、そういう人たちが近寄れる場所にっていうのをすごく考えてくれているんだなっていうのがね。うれしいことで」

商店街の人たちは、その後すぐ、空き店舗を光熱費のみで貸してくれました。いまでは、子どもたちの声が響いています。

田辺
「地元への恩返しっていうのは常に考えています。地元から何かオファーが来た時にもなるだけボランティア的な無料で色々やっていこうと。それで人がアーケードに帰ってくる、賑やかになることが私たちのお返しになったらいいな」

 

小野さん

まんがって基本的にその1人で描くものだと思っていたんですよ、今の今まで。でもこれだけ人と人が繋がって、お互いに切磋琢磨(せっさたくま)するとか、分かち合える仲間がいて初めて自分も高められるんだなと思いますし、知らない同士でもこの場所で出会ったならもう仲間だよっていう。めちゃくちゃ素敵だなと思いました。

高知では暮らしの中のあちこちにまんがが使われているんです。酒のラベルに「土佐の一本釣り」の描き下ろしのイラストが描いてあったり。牛乳パックに4コマまんが。高知の偉人について描かれた冊子や、小中学生向けの教材にもまんがが使われています。

ことしの「よさこい」ポスター

そしてことし70回を迎えたよさこい祭り。普段は人物の写真でポスターを作っていますが、節目の年に窪之内英策さんの描き下ろしイラストが採用されました。

小野さん

魅せちゃらあ」(笑)いいですね。まんが王国らしいですね。

 

千野アナ

小野さんが考える「まんがの力」ズバリ教えてください。

小野さん

『色あせない宝物』だと思います。まんがってずっと手元にあって、自分の中でずっと忘れられないものになっていて。それを改めて読んでもやっぱりいいなって思えて、その思い出を人と共有できる。そしてそのまんがが、どんどんどんどんほかの分野にも派生していって、それが人を繋げていく。だから、誰もがすぐに手に取れる、色あせない宝物なんじゃないかなと。

 

小野さん「高知のまんが文化の未来は明るいぜよ!」
放送では美声で宣言していただきました

放送をご覧になりたい方はこちらから!(NHKプラスの番組に遷移します)

NHKプラス
受信契約のある世帯の方は、別途の契約・お支払いは必要ありません。
ご家族が契約されていれば、NHKプラスのサービスを5画面まで利用可能です!
(ご家族の家のテレビ、自分のスマホ、PCなど)
登録方法、使い方はこちらから👇
https://plus.nhk.jp/info/

  • 千野秀和

    高知局 アナウンサー

    千野秀和

    2000年入局/ 1976年生まれ
    ことばに興味があるせいか、声優のみなさんとお仕事する機会も多いのです

ページトップに戻る