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なぜ?朝ドラブームの勢いを自転車で加速!? 高知は変わるか

(前編)観光、暮らしを豊かにする「ナショナルサイクルルート」とは
  • 2023年04月20日

4月のとさ金 テーマは「自転車」

4月からキャスターを務める、高知局アナウンサーの千野秀和(ちの・ひでかず)です。
 新年度第1回の「とさ金」は自転車がテーマ。
コロナ禍でも密にならないと注目され、2020年度には自転車販売市場が2100億円と過去最高の規模に。
景観や文化を自転車で体感するサイクルツーリズムも各地で広がっています。
朝ドラ『らんまん』で大きく注目を集める中、自転車で高知がどう変わるのか考えました。

スタジオゲストは、高知市出身の俳優、尾碕真花(おさき・いちか)さん。

尾碕さん

「中学生まで高知で暮らしていたので、通学の時は自転車を使っていたんです。学校が海に近く、海岸沿いを海風を受けて走るのが心地よかった。懐かしい思い出ですね」

そして、ナショナルサイクルルートの 審査委員をつとめる 髙橋幸博(たかはし・ゆきひろ)さん。

ナショナルサイクルルートとは、安全快適に自転車で走ることができ、景観や観光が楽しめる場所を繋ぐもので、国が4つの観点で評価し、指定します。その視点とは、
①安全で魅力的なルート設計
②迷わず安心安全な走行環境
③故障した時の対応など受け入れ環境
④ルートやアクセスなど必要な情報が発信されていること

実際ナショナルルートに認定された道はどのようなものか、全国で最も人を呼び込むしまなみ海道を取材しました。

しまなみ海道に学ぶ ナショナルサイクルルートへの道

ナショナルサイクルルートのひとつ しまなみ海道

年間およそ33万人のサイクリストが駆けつける、しまなみ海道サイクリングロード。
愛媛県今治市と 広島県尾道市をつなぎ6つの島を渡る 全長70kmのルートです。

しまなみ海道が多くのサイクリストに支持されているポイントをまとめました。

①「ブルーライン」の設置 道案内と左側通行を促す青いライン。コース内ほとんどに敷設。
 ドライバーへの注意喚起や事故防止にも。(今治市では自動車との事故15%減)
②主な行き先への標示 1kmごとに設置。迷わず安全に 走れる。
③ルート内の島すべてにレンタサイクルの貸し出し場所を整備
 およそ160か所の サイクルステーションも設置。
④2カ国語以上に対応したルート マップなどで「情報発信」。

今治市サイクルシティ推進課を取材すると、自転車による地域おこしの盛り上がりを感じます。

推進課 担当者

「サイクリスト目線に立って受け入れ環境の整備に力を入れてまいりました。これからは、ナショナルサイクルルートの指定を受けている地域どうしで競い合っていかなければならない」

動き始めた 高知・仁淀川流域

高知県も自転車による観光振興に動きはじめています。
県内で積極的にサイクルツーリズムに取り組み始めているのが 仁淀川流域。2018年からサイクリングイベントを開催しています。しまなみ海道のように 人を呼び込むためには何が必要か。
専門家と実際に流域を走り、可能性と課題を探りました。

ナショナルサイクルルートの審査委員をつとめる髙橋幸博さん。
北海道を拠点に外国人向けの ツアーガイド事業を運営。海外のサイクルルートにも精通しています。
仁淀川流域でサイクリングイベントを主催する小野義矩(おの・よしのり)さんが案内役。

今回、いの町から 土佐市に向かい、日高村、仁淀川町、越知町を巡るルート。

まず髙橋さんが高く評価したのは 山から海までが近い 高知ならではの「地形」です。

髙橋さん

「(高知の)海・川・山っていうダイナミックな地形の変化はいいですね。山の斜面の 集落ってすごく珍しい。スイスとかフランスのアルプスのまちづくりと似ていて地域性や地方性があるから、海外の方すごく喜ぶと思いますね」

高橋さん 満開の桜並木に大興奮

ルート上に“現地に行かないと出来ない体験”が豊富にあるのも強みだといいます。
仁淀川定番のカヤック体験や洞窟探検、紙すきなど、仁淀川流域の魅力を味わえる場所はルート周辺に およそ80か所あります。

サイクルルートにはそば打ち体験も

一方「走行環境」には課題も。

〇トンネルの照明が暗い
〇観光地までの道案内の標示 しまなみ海道では1kmごと 今回のルートはおよそ3kmごと

髙橋さん

「トンネルを明るくする、案内看板をつける、これはすぐ出来ると思います。
世界に発信できる魅力はある。だけど、それをつなぐのは道なんだと、地域の方たちが深く理解することでもっと(仁淀川の)価値を 高めることができる。道路と集落の魅力をしっかりアピールしてほしいなと思います」

当たり前の川の景色 唯一無二のサイクルルートへ

VTRを受けて、高知・仁淀川での自転車の活用について話しました。 

髙橋さん

「仁淀ブルーっていうブランディングをされていますね。川に注目したサイクリングロードってあまりないので、ナショナルサイクルルート目指すっていうことをやっていただくと、たぶん唯一無二の川をPRするナショナルサイクルルートっていうことができると思います」

尾碕さん

「高知で生まれ育った私にとっては、斜面にある集落や川って本当に身近なもので当たり前な環境だと思ってたんですけど、それが県外の方だったり海外の方から見るとすごい魅力的な場所なんだなっていうのが聞けて、知れて、すごく嬉しいです」

千野アナ

「本当にそこを再発見したいですね。しかし一方で課題もありました」

髙橋さん

「トンネルのシーン。やはり地元の子供たちの通学とかひょっとしたら通勤とか、暮らしの中で使ってる人、暗いって感じてるだろうと。
情報発信も、海外のお客様向けの英語のサインだとか、自転車の方はここに駐輪してください、トイレはここですよというようなルール作りが地元で整理されていく、ナショナルサイクルルートを目指すような動きになってくれば、地元の方にとっても良くなるんじゃないかと感じました」

千野アナ

「暮らしている私たちにはサイクルルートを確立するとどんなメリットが?」

髙橋さん

「地域の皆さんの環境が良くなるということは大きなポイントになります。自転車は道路を使います、道路は暮らしている皆さんも使っています。つまり道路って皆さん共有しているもの。地域の課題である人口減とか空き家の問題、空き店舗の問題とかも「なんかここで稼げたり事業ができるな」と思ったら、カフェを経営しようとかクラフトビールやろうみたいな、そんな人たちが(移り住むことが)、地方に今まさに起きてるんですね。仁淀川沿いでもぜひこういった動きを、5年10年かかるかもしれませんけども、地域の魅力を発信する、地域の方がその魅力に気付ける自転車の取り組みになるのではと思います」

尾碕さん

「やっぱり住んでいるだけだと全然自分たちの地元に魅力だったり気づけなかったりするので、カフェだったり色んなものが整備されていくと、住んでる私たちも新たな魅力に気づけるんじゃないかなと思うので、すごく頑張ってほしいです」

そして、自転車を活用することで地域そのものに影響を与え始めた現場も取材。
新たな乗客を生み出した鉄道路線、生き生きとした暮らしにつながっている宿毛市の様子は、後編で!

  • 千野秀和

    高知局 アナウンサー

    千野秀和

    2000年入局/ 1976年生まれ
    リポーターとして現場に
    行くのが大好きです
    2度目の高知勤務、
    より深い魅力を探っていきます!

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