「私の答弁が信用できないのであれば もう質問をしないで」

放送法が定める「政治的公平」の解釈に関する総務省の行政文書をめぐり、高市経済安全保障担当大臣は参議院予算委員会で、総務大臣当時の秘書官らに確認した結果、「政治的公平」に関する説明を受けた事実はなかったと、重ねて文書の内容を否定しました。

一連の行政文書のうち、平成27年2月13日に当時の高市総務大臣に「レク」と呼ばれる説明を行ったと記された文書には、「政治的公平」の解釈をめぐり、当時の局長が礒崎総理大臣補佐官の意向を伝え、協議したとされています。

これについて高市大臣は、3月15日の参議院予算委員会で「この文書に出てくる『レク』には、大臣室側は私を含め3人が同席しているが、秘書官ら2人は『絶対にない』と言っている。ペーパーの内容が間違いだと繰り返し申し上げている」と、文書の内容を重ねて否定しました。

また、立憲民主党が答弁の内容が変わってきており信用できないとして、説明責任を果たすよう求めたのに対し、高市大臣は「私の答弁が信用できないのであれば、もう質問をしないでほしい。説明しようとすると遮られるので、これまで十分に一つ一つについての説明をさせてもらうことができなかった」と反論しました。

一方、松本総務大臣は、礒崎元補佐官の圧力で解釈が変更されたのではないかと問われたのに対し「関係者に聞くかぎり、強要されて解釈を変えたということではない。解釈は従来と変更なく、放送の表現の自由や知る権利を大切に行政を前に進めていきたい」と述べました。

立民 石橋議員「予算委での謝罪と撤回求めたい」

参議院予算委員会で高市大臣が「私の答弁が信用できないのであれば、もう質問をしないでほしい」と述べたことについて、野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の石橋通宏議員は記者団に対し「真摯(しんし)に、できるだけ正確に答弁をするのが閣僚の責任だが、それを完全に放棄する重大な問題発言だ」と批判しました。

そのうえで「予算委員会での謝罪と撤回を求めたい。『大臣の任にあらず』で、高市大臣のもとで国会審議ができるのかというぐらい重たい話だと受け止めている」と述べました。

求めあれば当時のメールなど提出も

一連の行政文書のうち、平成27年2月13日に当時の高市総務大臣に総務省幹部が「レク」と呼ばれる説明を行ったと記された文書には、放送法が定める「政治的公平」の解釈をめぐり、当時の局長が礒崎総理大臣補佐官の意向を伝え協議したとされています。

高市経済安全保障担当大臣は、14日の衆議院本会議で、この文書の内容を重ねて否定するとともに「問題の本質は私が平成27年5月12日に参議院総務委員会で行った答弁が礒崎元総理補佐官の影響を受けたものか否かということだ」と指摘しました。

そのうえで「そうでないことを証明するため、委員会前夜に行われた私と大臣室の答弁案に関するやりとりのメールや、答弁案を作成した担当課から大臣室に送られてきた資料について、求めがあれば提出したい」と述べました。

平成27年5月12日の答弁とは

高市経済安全保障担当大臣が14日の衆議院本会議で言及した、平成27年5月12日の答弁は、当時、総務大臣だった高市氏が、参議院総務委員会で、放送法が定める「政治的公平」の解釈について説明したものです。

この中で、高市大臣は「政治的公平」は1つの番組ではなく番組全体を見て判断するとした従来からの考え方を示しています。

そのうえで「これまでの解釈の補充的な説明」として、1つの番組のみでも、選挙期間中などに、特定の候補者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送するなど、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼす極端な場合は、一般論として政治的に公平であることを確保しているとは認められないとしています。

また、国論を二分するような政治課題について、一方の政治的見解のみを取り上げ、それを支持する内容を相当な時間にわたり繰り返す番組を放送するなど、不偏不党の立場から明らかに逸脱している極端な場合にも、同様に政治的に公平であることを確保しているとは認められないと答弁しています。