G20に林外相の出席見送り 安住氏「日程調整できないレベル嘆く」

インドで開かれるG20=主要20か国の外相会合には、山田外務副大臣が出席することになりました。林外務大臣は、国会審議のため出席が見送られます。

G20の外相会合は、3月1日から2日間の日程でインドで開かれ、アメリカのブリンケン国務長官やロシアのラブロフ外相、それに中国の秦剛外相が出席する予定です。

これについて外務省は、山田外務副大臣が出席すると発表しました。

林外務大臣は2日まで、参議院予算委員会で岸田総理大臣とすべての閣僚が出席して基本的質疑が行われるため、外相会合への出席を見送ることになりました。

政府・与党内からは「予算審議は重要なのでやむをえない」という意見がある一方、「G7=主要7か国の議長国を務める中、日本外交にとって痛手だ」といった指摘が出ています。

クアッドの外相会合には出席の見通し

自民党の野上参議院国会対策委員長と、立憲民主党の斎藤参議院国会対策委員長が会談し、予算審議のため、インドでのG20=主要20か国の外相会合出席を見合わせた林外務大臣について、自民党側がG20に合わせて、3日に行われる日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4か国の枠組み=クアッドの外相会合には出席できるよう配慮を求めました。

これに対し、立憲民主党側が受け入れる考えを示したため、林大臣は「クアッド」会合に出席する見通しになりました。

松野官房長官「日程や内容などを総合的に勘案」

松野官房長官は、記者会見で「林外務大臣が出席する可能性を追求したが、国会を含む国内での公務の日程や内容などを総合的に勘案し、最終的に、山田外務副大臣が出席することが適切だと判断した」と述べました。

そのうえで「ロシアによるウクライナ侵略が継続する中、食料・エネルギー安全保障など、重要課題について、G7=主要7か国の議長国であるわが国の立場と取り組みを積極的に発信したい」と述べました。

立民 安住国対委員長「日程の事前調整できないレベル嘆く」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、党の会合で「本来、外務大臣はG20の外相会合に行くべきだ。参議院予算委員会の基本的質疑がスタートするのは分かりきっている話で、外務省は、この日程を外して議長国に日程を組んでもらうのが普通だが、それもできずに日本の外交ができるのか」と批判しました。

そのうえで「立法府として『行くな』とは言っておらず、日程の事前調整ができないレベルを嘆いている。議会が足止めしているかのように責任を転嫁するのはおかしい」と述べました。

G20外相会合 インドで開幕 米ロ中出席 ウクライナ情勢など議論

G20=主要20か国の外相会合がインドで開幕し、2日、実質的な討議が行われます。会合にはアメリカのブリンケン国務長官やロシアのラブロフ外相、中国の秦剛外相らが出席してウクライナ情勢などについて議論が交わされる見込みですが、立場の隔たりは大きく、一致点を見い出せるかは不透明な情勢です。

G20の外相会合は1日夜、インドの首都ニューデリーで夕食会が開かれ開幕し、2日に行われる全体討議では、ウクライナ情勢が主要な議題となる見込みです。

1日は、ロシアのラブロフ外相がニューデリーで開催されたイベントに出席し「ロシアとインドは、主権国家に対する不当で一方的な制裁や脅迫、そのほかの圧力など新植民地主義的な行動に一貫して反対している」と主張し、欧米側の制裁を非難しました。

一方、アメリカのブリンケン国務長官は、1日までカザフスタンなど中央アジアを訪問し、政治的にも経済的にもつながりが深いロシアと中央アジアの国々の関係にくさびを打ち、ロシアへの制裁の効果を高める狙いとみられます。

会合にはこのほか、中国の秦剛外相が出席する予定ですが、アメリカは中国に対してロシアに軍事支援を行わないようけん制していて、ブリンケン長官はいまのところ、秦外相との会談の予定はないとしています。

ロシアによる軍事侵攻が始まってから1年がたちましたが、欧米とロシアの立場の隔たりは依然大きく、世界的なエネルギーや食料価格の高騰への対応などについて一致点を見い出せるかは不透明な情勢です。

ロシア外相「欧米側の制裁 新植民地主義的な行動」

G20=主要20か国の外相会合に出席するため、インドを訪れているロシアのラブロフ外相は、1日、首都ニューデリーで開催されたイベントに出席し「真の多国間主義を強化しようとするインドの友人たちをわれわれは支持する」と述べ、議長国のインドをたたえました。

そのうえで「ロシアとインドは、主権国家に対する不当で一方的な制裁や脅迫、そのほかの圧力など新植民地主義的な行動に一貫して反対している」と主張し、欧米側の制裁を非難しました。

ロシアとしては欧米との対立がいっそう深まる中、ことしのG20の議長国であり「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国や途上国の代表格のインドとの連携を強化して欧米側に対抗したい考えで、一連の会合でのラブロフ外相の動向も注目されています。