G20サミット閉幕 合意優先の形で首脳宣言採択 対立や分断続く

インドネシアで開かれていたG20サミット=主要20か国の首脳会議は11月16日、首脳宣言を採択して閉幕しました。

宣言は、ウクライナ侵攻をめぐり欧米とロシアなどそれぞれの主張を盛り込み、合意を優先させた形で、各国の対立や世界の分断は今後も続くことになります。

インドネシアのバリ島で15日から2日間開かれたG20の首脳会議には、アメリカのバイデン大統領や中国の習近平国家主席など先進国と新興国の首脳やロシアのラブロフ外相などが参加しました。

会議では、軍事侵攻やロシアへの経済制裁をめぐり欧米とロシアが激しく対立しましたが、各国間の調整の末16日、首脳宣言を採択し、閉幕しました。

宣言では「ウクライナでの戦争についてほとんどの国が強く非難するとともに、人々に多大な苦痛をもたらし世界経済のぜい弱性を悪化させている、と強調した」などと明記しました。

一方、ロシアに対する経済制裁やウクライナ情勢について「ほかの見解や異なる評価があった」として、ロシアや経済制裁を行っていない一部の国の立場も踏まえました。

今回の首脳宣言は、ウクライナ情勢で立場が異なる各国それぞれの主張を盛り込み、合意を優先させた形で、ロシア大統領府も宣言の内容を評価しています。

議長国インドネシアのジョコ大統領はウクライナ侵攻後、初めての開催となった首脳会議について「ウクライナでの戦争をめぐり非常に厳しい議論が交わされた」と述べた一方、宣言を採択できたとして成果を強調しました。

しかし、ウクライナ侵攻やロシアへの経済制裁をめぐる各国の対立や世界の分断は今後も続くことになり、G20のあり方に課題を残す結果となりました。

ロシア「バランスの取れた内容になるよう力尽くした」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は16日、G20サミットで採択された首脳宣言に、ウクライナ情勢をめぐるロシアの立場が盛り込まれたことについて、満足していると評価しました。

そのうえで「バランスの取れた内容になるようロシア外務省が力を尽くした」と述べました。

G20首脳 予定大幅変更し対応協議 ポーランドのミサイル落下で

ロシア製のミサイルがポーランド領内に落下し2人が死亡したと伝えられたことを受け、G20サミット=主要20か国の首脳会議のためインドネシアに集まっている各国の首脳は、会議での予定を大幅に変更し対応を協議しています。

インドネシアのバリ島で開かれているG20の首脳会議には、アメリカのバイデン大統領や中国の習近平国家主席らが出席していて、16日は最後のセッションや各国による2国間の会談などが予定されていました。

しかし、ロシア製のミサイルがポーランド領内に落下し2人が死亡したと伝えられたことを受けて、各国の首脳は会議での予定を大幅に変更し、G7=主要7か国とNATO=北大西洋条約機構の緊急首脳会合を開くなど、対応を協議しています。

岸田総理大臣とイギリスのスナク首相との日英首脳会談はいったん取りやめになりました。

また、各国首脳が参加する予定だったマングローブの植林イベントは大幅に開始時間が遅れました。

G20は首脳宣言の採択を目指していますが、NHKが入手した宣言案によりますと「現代を戦争の時代にしてはならない」との文言が盛り込まれていて、ミサイルの落下はG20での議論への影響も予想されます。