“10万円給付指針”通知
一部現金給付開始自治体も

18歳以下への10万円相当の給付をめぐって政府は、年内の全額現金での一括給付など、3つの方法を明記した指針を15日午後、全国の自治体に通知しました。

政府が通知した指針には、現金5万円を先に給付したあと5万円分のクーポンを配布する、当初予定していた方法に加え、現金5万円ずつを2回に分けて給付する方法、そして、年内に現金10万円を一括で給付する方法の3つが明記されています。

そして、地域ごとに事情が異なることを踏まえ、政府として、自治体が現金給付を行う場合に、何らかの条件を設けて審査を行ったり、可否を判断したりすることはないとしています。

また、先行分の現金は可能なかぎり年内に給付するよう求めています。

一方、先行分の現金給付と追加分の給付を別々に行う場合は、追加分にかかる事務費用も国の補助の対象とすると明記しています。

そして、年内に現金一括給付を行う場合の自治体での手続きについて「議会が開会中であれば予算案を追加上程し、閉会中の場合は臨時議会を開催するか、地方自治法に基づく首長の専決処分を行うことが考えられる」としています。

磯崎官房副長官「地方自治体の給付をサポート」

磯崎官房副長官は午後の記者会見で「国会での議論を整理し、いわゆるQ&Aの形でまとめたものを、きょう地方自治体に示した。今後は地方自治体が地方の実情に応じて、子育て世帯への給付を着実に行っていただきたいと考えており、政府としても、しっかりとサポートしていきたいと考えている」と述べました。

山形市 現金5万円の給付が始まる

山形市では15日から対象世帯の一部に対して現金5万円の給付が始まりました。

山形市ではいち早く給付するため今月6日から10日にかけて対象者がいるすべての世帯に受給の意向調査を行ったということです。

山形市家庭支援課の関口剛課長は、残りの5万円について「現金給付の方向で進めたいと思っている。今月中に議会が開けるよう日程を調整しているところなので、速やかに給付できるようにしたい」と述べ、今月中に臨時の議会を開き、年内に現金で給付する方針を示しました。

母親たちの居場所づくりに取り組む市内のNPO団体のフリースペースを訪れた、4歳と13歳の子どもがいる女性は、15日、入金の確認のため銀行に行ったところ、子ども2人分の現金10万円が市から振り込まれていたということです。
女性は「年末はいろいろと出費がかさむので、本当にありがたいです。子どもと相談して何に使うか決めたいと思います」と話していました。

那須塩原市でも5万円の現金給付

栃木県那須塩原市では、14日から5万円の現金給付を始めました。

給付されたのは対象のおよそ1万世帯のうち児童手当を受けている中学生以下の子どもがいるなどのおよそ8000世帯で、先行して5万円を口座に振り込んだということです。

残りの5万円については今月中に再び口座に振り込むことにしています。

また、子どもが高校生のみなどの残りのおよそ2000世帯については、今月中に受け付けを開始し、来年1月には一括して10万円を給付したいとしています。

那須塩原市の渡辺美知太郎市長は、15日の記者会見で「新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種に向けて接種券の準備なども進む中、給付金のクーポン券を合わせて発行するのは自治体側の作業も大変で、国は自治体の実情が分かっていない」と苦言を呈しました。

そのうえで「全額現金で給付できるよう国が間違いを認めてくれてよかった。全国的にも早く支給できていると思うので、困っている市民に一刻も早く給付金を届けたい」と話していました。

かほく市も5万円の現金給付

石川県かほく市では、15日から5万円の現金を給付しました。

かほく市では18歳以下の子どもがいるおよそ3500世帯のうち、市が児童手当の支給などで口座を把握している7割余りのおよそ2500世帯に対し、先行して15日、5万円の現金を給付したということです。

市は先月の閣議決定を受けてすぐに必要な予算を確保する手続きを進め、迅速な対応につなげたということで、石川県内では最も早い給付の開始になったとしています。

市によりますと残りの5万円についても、今月27日に同じく現金で給付する方針です。

また、市が口座を把握していない高校生の子どものみの家庭などおよそ1000世帯については、来年1月以降に10万円を一括して現金で給付したいとしています。

かほく市の30代女性は「『お金をきょう支給しますよ』という通知が来ていて、県内でも支給が早いので、かほく市は子育てに力を入れているなと思いました」と話していました。

名古屋 河村市長 一転、全額現金を給付表明

名古屋市はこれまで現金とクーポンで給付する方針を示していましたが、河村市長は、15日一転して、全額現金で給付すると明らかにしました。

名古屋市は18歳以下への10万円相当の給付について、これまで5万円を現金で給付したあと、5万円分のクーポンを支給する方針を示していましたが、河村市長は15日夕方、「全額皆さんに現金でお届けすることにした」と述べ一転して全額現金で給付すると、明らかにしました。

クーポンを取りやめた理由として、河村市長は、政府が全額現金給付でも構わないという方針を示したことや市民から現金給付を望む声が寄せられたためなどと説明しています。

名古屋市は、対象者の一部、およそ13万7500世帯に、今月24日から現金5万円を給付する手続きをすでに始めていて、残りの5万円は来月中をメドに給付することにしています。

一方、ほかの対象者には来月下旬以降、現金10万円を一括して給付する方針です。

河村市長は「現金とクーポンのどちらでもいいとなれば皆さん当然、生活に困っている人も多くいるので現金がいいということになる。ころっと方針が変わったのは事実だが、それをどうのこうの言っても仕方がない」と話しています。