神戸 新長田地区の復興事業
初の検証 報告書案まとまる

阪神・淡路大震災から来月17日で26年となります。

神戸市はいまだに続く新長田地区の復興事業について初めて検証を行い、経済情勢などの変化にもかかわらず行政が大規模な計画にブレーキをかけられなかったと総括しています。

阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けた神戸市の新長田地区ではおよそ20ヘクタールの土地に44棟の再開発ビルを建設する大規模な復興事業が今も続いていて震災から29年となる2024年にようやく完了する見通しとなりました。

こうした中、神戸市は、初めて事業の検証を行い、このほど検証報告書の案がまとまりました。

この中では、震災前の商店街の地権者のうち戻ってきたのは半数にとどまったとしたうえで、復興を急ぐあまり、地権者への説明やヒアリングが十分にできず、入居の意向を把握せずに開発を進めたことが背景にあったとしています。

また、経済情勢が見通せず事業の収支は、全体で300億円余りの赤字に陥ったことも挙げ、行政内部で大規模な計画にブレーキをかける動きはなかったとして、柔軟な判断が必要だったと総括しています。

さらに、工業拠点の整備が遅れ、地区の主要産業だったケミカルシューズの工場が地区外に転出する結果になったとして、今後は、医療や福祉関連の企業を集積させるなど新たな産業を育成する必要があるとしています。

神戸市は11日、検証報告書をまとめることにしています。