自民 安倍派 最後の議員総会 派閥としての活動終える

政治資金パーティーをめぐる事件を受けて、解散することを決めた自民党の安倍派は最後となる議員総会を開き、派閥としての活動を終えました。

安倍派 最後の議員総会 派閥としての活動終了

安倍派は政治資金パーティーをめぐる事件を受けて、1月に解散することを決定し、1日、党本部で最後となる議員総会を開きました。

この中で、座長を務める塩谷元文部科学大臣は「政治不信を招き、深くおわび申し上げる。安倍元総理大臣の遺志を継いで政策実現に向けて運営してきたが、このような事態になり誠に残念無念だ」と述べました。

そして、すべての役職と意思決定を行う「常任幹事会」を廃止し、派閥としての活動を終えることを決めました。

今後は事務所の解約など、清算にあたる委員会を設けて手続きを進め、残った資金は公的機関に寄付するとしています。

また、総会では、出席した議員から塩谷氏の政治責任を問う声が出た一方、「1人に責任を負わせるべきではない」という意見も出されました。

このあと、塩谷氏は記者団に対し、「歴史ある派閥を閉じなければならない時に座長の立場にあり、本当に断腸の思いで、申し訳なく思う。私の責任論については重く受け止め、解散業務などを行い、しかるべき時に判断したい」と述べました。

“安倍派”の歴史と経緯

安倍派の正式名称は「清和政策研究会」で、福田赳夫元総理大臣が立ち上げました。自民党内でも保守的な政策グループとされ、2000年以降は森喜朗氏、小泉純一郎氏、安倍晋三氏、福田康夫氏と、総理大臣を次々輩出しました。

2022年7月に会長だった安倍元総理大臣が亡くなってからは、会長不在の状態が続き、2023年8月には塩谷元文部科学大臣を座長とし、松野前官房長官や萩生田前政務調査会長など、15人で構成する「常任幹事会」で意思決定を行う新たな体制を発足させました。

当時、100人の議員を擁する党内最大派閥として、岸田政権でも存在感を発揮し、松野氏や萩生田氏ら「5人衆」と呼ばれる有力議員が閣僚や党幹部を務めました。

しかし、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題が発覚し、2023年12月、閣僚や党幹部が辞任。

検察から所属議員3人と会計責任者が立件されたことを受け、2024年1月19日に、派閥を解散することを決めました。

そして、1月31日、収支報告書への不記載分の総額が、2022年までの5年間で6億7654万円だったとして、「政治不信を招き心よりおわび申し上げる」などとするコメントを発表しました。

《安倍派 各議員の反応》

安倍派 最高顧問 衛藤元衆院副議長「派閥解散は当然」

安倍派の最高顧問を務める衛藤征士郎 元衆議院副議長は国会内で記者会見し、派閥の政治資金パーティーをめぐる事件について、「政治に対する信頼を損ねた。心からおわびする」と陳謝しました。

そのうえで、販売ノルマを超えて集めた派閥のパーティー券収入について、2021年までの3年間で1070万円のキックバックを受けて収支報告書に記載していなかったことを明らかにしました。

また、議員辞職や離党することは否定しました。

さらに、安倍派が解散を決めたことについては、「当然だと思う。派閥は解消、解散すべきだ」と述べました。

一方、座長を務める塩谷元文部科学大臣ら、派閥の運営に携わった幹部の責任について、「還流は彼らが始めたのではなく、ずいぶん前からあり、今の幹部にすべて責任を取らせるのはいかがなものか。みんなに連帯責任がある」と述べました。

事務総長 高木前国対委員長「皆さんに申し訳ない」

事務総長を務めた高木前国会対策委員長は記者団に対し、「しっかりと初心にかえって、政治活動を頑張っていきたい」と述べました。また、派閥の解散を招いた幹部としての責任を問われ、「もちろんある。しっかりやっていた皆さんに申し訳ない」と述べました

松野前官房長官「残念でならない 責任自覚し行動を」

議員総会のあと松野前官房長官は記者団に対し、「衆議院議員として活動する前の浪人期間も含めて、『清和政策研究会』の先輩に指導いただき、同志と励まし合いながら進んできた。本当にじくじたる思いで、残念でならない。長い期間の友情があるので、今後も助け合っていかなければいけない」と述べました。そのうえで、「大きな政治不信を招いてしまった責任を皆が自覚し、しっかりと行動していきたい。信頼回復を図ることがいちばん重要だ」と強調しました。

一方で、幹部や所属議員の政治責任については「個々の判断で進めていくべきことだということになった」と述べました。

丸川元五輪相「責任については議論が残っていくと思う」

丸川元オリンピック・パラリンピック担当大臣は記者団に対し、安倍派としての責任の取り方に関して、「真相究明には納得していないという声が非常に多かったし、責任ある立場の人が何らかの責任を取ったことが国民に伝わる行動をとるべきだという意見が出た。責任については私たちの中でも議論が残っていくと思う」と述べました。

一方、自身の政治団体については、おととしまでの5年間で、販売ノルマを超えて集めた派閥のパーティー券収入822万円分を収支報告書に記載していなかったと説明し、「国民に大きな不信を招き、心からおわびする」と陳謝しました。

橋本聖子元五輪相「責任は大変重く 解散は当然だった」

自民党の橋本聖子元オリンピック・パラリンピック担当大臣は記者団に対し、「問題を起こした責任は大変重く、1つの大きなけじめとして、こうした日を迎えることは当然だったと思う。総会では幹部の責任を問う意見も出たが、これからは個人としてどう責任をとり行動していくかになる。私自身も多くの還付金をいただいていたので、考えていかなければならない」と述べました。

松川るい参院議員「国民 安倍元首相に申し訳ない」

松川るい参議院議員は「安倍元総理大臣に憧れて『清和政策研究会』を選んだが、このような形で終わったことは国民に極めて申し訳ないし、安倍元総理大臣にも申し訳ない。きちんとけじめをつけるような形にならなければならない」と述べました。

杉田水脈衆院議員「非常に残念 安倍元首相にも申し訳ない」

安倍派の杉田水脈 衆議院議員は国会内で記者団に対し、安倍派の解散について、「非常に残念だ。安倍元総理大臣にも申し訳ない。ただ、国民に疑念を持たれた発端は『清和政策研究会』にあるので致し方ない」と述べました。

一方、自身はおととしまでの5年間で販売ノルマを超えて集めた派閥のパーティー券収入1564万円分を収支報告書に記載していなかったと説明し、「大変申し訳ない。派閥の指示だったとはいえ、国民におわびしたい」と陳謝しました。

《野党側 反応》

立民 安住国対委員長「組織ぐるみで長年の不法行為 岸田首相がどう関係者処分か注目」

立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し「想像していた以上に関わっている人が多く、最大派閥が組織ぐるみで長年にわたって不法行為をしていたことがはっきりした。岸田総理大臣がどのように 関係者を処分するのか注目している。政治責任は取らせないとまずいのではないか」と述べました。その上で「本当に知りたいのは、なぜこのような不記載をして、何に使ったかだ。自民党が関係者から聴き取りを始めるということなので、結果を早く予算委員会で出してほしい」と述べました。

維新 馬場代表「自民党として派閥を超えて説明を」

日本維新の会の馬場代表は記者会見で、「派閥は清算していただいたら結構だが、われわれが求めているのは事実関係を明らかにすることだ。どのようにお金を受け取り、何に使ったのか、自民党として派閥を超えて説明することを国民は求めている。再発防止策を考える前に、きちんとやるべきだ」と述べました。

国民 玉木代表「すべての違反者リストを速やかに出して」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し、「安倍派の対応は不十分で遅い。裏金をもらった人は調べなくても分かっていたはずだ。社会の厳しい目をなめており、国民は怒っている。立件されなくても不記載は法令違反なので、すべての違反者リストを速やかに出してもらいたい」と述べました。

教育 前原代表「対応が遅い 責任は岸田首相が取るべき」

教育無償化を実現する会の前原代表は記者会見で、「対応が遅い。全容を解明して問題点を国民に公開し、謝罪して責任を取る手順が取られておらず、大きな問題だ。最大の責任は岸田総理大臣が取るべきだ」と述べました。

そのうえで、「会計責任者にだけ責任を負わせて、議員が無傷でいることは、国民からするとありえない」と述べ、収支報告書に不記載などがあった場合、議員本人も処罰されるよう法改正を行うことなどを盛り込んだ改革案をまとめ、実現を目指す考えを示しました。