【ポイント解説】なぜ今?原発 処理水 海洋放出の開始決定

Q.福島第一原発の処理水の海洋放出は、政府は「夏ごろ」としていたが、ここにきて一気に日程が決まった印象もあります。岸田総理大臣の決断の背景には何があるのでしょうか?

A.実は水面下では国内外の事情を考慮しつつ模索が続いていたんです。

政府関係者は、こう明かしています。

「24日は少し前から念頭にあったが、漁業関係者などとの調整を慎重に進めるために、決め打ちはぎりぎりまで避けた」(政府関係者)

当初、政府内には、先月、IAEAの報告書が出た直後にも放出を始めるべきだという意見もありました。ただ地元からは「観光面での風評被害が起きかねない」として、海水浴シーズンの今月中旬までは避けるよう求める声が出ました。

また周辺国でも反対や懸念の声が出て、反論や説明に時間を要した側面もありました。

一方、地元では来月1日から底引き網漁が解禁されるため、放出開始は、できるだけ解禁日より前にして安全を確認するよう求める声もあったんです。

こうした複数の事情を考慮した結果、「このタイミングのほかない」という判断だったとみられます。           

政治部記者
潮 悠馬
2017年入局。福島放送局が初任地。警察担当や会津若松支局を経て、福島県政担当。会津産のコメと酒を愛す。2023年8月から政治部官邸クラブ。