【あの人の健康法】日野原重明の直伝!健康維持・長生きの秘訣とは?

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運動の健康効果食で健康づくり認知症高血圧脳梗塞物忘れをする言葉が出ない意欲の低下脳・神経こころ足・脚
日野原重明さん

「きょうの健康」では、放送開始50周年を記念して、各界を代表する方々の健康の秘訣や闘病記をご紹介しました。
2017年に105歳で亡くなった医師の日野原重明さん。生涯現役の医師として活躍された日野原さんに、94歳のときにご自身の健康法についてインタビューしました。

達成感で今日を生きる

Q:日野原さんはとても忙しい毎日を送っていらっしゃるそうですね。

日野原:24時間のうちの18時間は文章を書いたり、会議にでたりして何かの仕事をしています。そのため、ふだんは午前2時に寝て、朝7時に起きるので、睡眠は5時間ほどになります。それでも本の執筆や講演の準備などで週に1回は徹夜になることもあります。また、3年間のスケジュールを書き込める手帳を使っていて、3年先のスケジュールが決まっていることもあります。たとえば3年先にニューヨークに行くことが決まっていて、それにむけて体に気を付けています。

ハイジャック事件が人生の転機に

1970年3月31日、羽田を飛び立った福岡行き日本航空351便(よど号)が赤軍派に乗っ取られた、日本における最初のハイジック事件です。
よど号は福岡に着陸して婦人や子供ら23人を降ろした後、100人余を乗せて飛び立ち、北朝鮮へ行くと見せかけて韓国の金浦空港に着陸しました。犯人グループとの交渉の間、乗客は3日間、機内に閉じ込められたが、山村運輸政務次官が身代わりの人質になり、80時間ぶりに解放されたのです。
このよど号ハイジャック事件に福岡の学会に参加する予定だった日野原重明さんも巻き込まれました。

Q:ハイジャックされたよど号に乗り合わされた?

日野原:『私が60歳になる少し前のことでした。私は4日間ハイジャックされたよど号にいたわけです。しかし、無事に帰ることができて私の命は救われたのだと感じたんです。それからは多くの仕事をボランティアでやっていこう、社会に奉仕していこうという考えになったんです。』

毎日の運動が健康長寿の秘けつ

Q:運動をするよう、気をつけるようになったのは、いつごろですか?

日野原:『もともと運動は好きだったんですが、仕事が忙しくなり気がついたら全然運動しなくなっていた。60歳を過ぎてこれはよくないと気付いて、エレベーターを使わずに階段を使うとか、早足で歩くといったことを意識的に生活に取り入れるようになったんです。また、毎日いすに座って手を使わずに立ち上がるという運動を20回ぐらい繰り返しています。』

高齢者でもたんぱく質は重要!日野原流〝食事術″とは

Q:ふだん、どのような食事をしているのでしょうか?

日野原:『朝はとにかく時間がないので、オリーブオイルをジュースに入れて飲みます。それから牛乳をコップに1杯。時間があれば少し果物を加えることもあります。昼食はクッキー2枚に牛乳コップ1杯です。夕食はなるべく自宅で食べるようにしています。ご飯は半膳くらい。お肉は割と多くて週に2~3回はステーキを食べます。そしてお魚はだいたい毎日食べます。お肉やお魚はたんぱく質が豊富です。たんぱく質は筋肉を作る材料になるので、高齢者になっても積極的に摂っていただきたいと思います。私は普通の人よりも少し多めに、1日60グラムは摂っています。』

健康というのは上手に生きている姿

Q:日野原さんの健康観についてお聞かせください。

日野原:『健康を定義するときに〝検査をして病気がない″のが健康であるというのが一般的です。しかし、最近の精密な検査をすれば、何かしら見つかるものなんですよ。私の脳にも微小な梗塞があります。中枢から離れているのであまり気にしないようにしています。何か病気があっても、ある程度の生活の制限はやむをえないと諦めて、もっとポジティブなことを考えるんですね。
「一病息災」という言葉がありますが、何か病気があると、健康の良さがわかります。健康というのは病気があるにもかかわらず、健やかな気持ちを保つこと。そして、上手に生きている姿であると思います。』

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年7月 号に掲載されています。

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