せきやたんと漢方

漢方は、一人一人の「陰陽(いんよう)」や「気・血・水(き・けつ・すい)」など体全体のバランスを診て「証」を決定し、証に合った治療を行います。慢性的な冷えや不調など西洋医学では病名がつかない症状も、体のバランスが崩れている状態を診て証を診断します。病気一歩手前の「未病」の状態を治療することも漢方の特徴です。治療では、一人一人に応じた漢方薬を使い、同じ患者さんでも状態の変化に応じて薬を変えていく場合があります。
せきやたんの治療では、陽証には「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」、陰証には「人参湯(にんじんとう)」がよく使われます。それぞれの漢方薬は、「たんを切れやすくする」「せきを抑える」などの効果を持つ複数の生薬から構成され、組み合わせによる相乗効果もあります。