【男性の更年期対策】生活習慣の見直し・漢方・男性ホルモン補充療法について徹底解説

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セルフケア・対処 更年期障害 関節痛 うつ状態が続く 関節 筋肉 デリケート部分(陰部)

生活習慣を見直す4つのポイント

生活習慣を見直す4つのポイント

男性の更年期障害の対策は、男性ホルモン、テストステロンの低下を防ぐことです。
テストステロンは社会性ホルモンとも呼ばれ、家庭や会社、地域のコミュニティーの中で評価される、認められる、あるいは、褒められると分泌量が上昇すると言われます。
男性の更年期障害の症状を改善するには、まず生活習慣を見直すことが大切です。日常生活の中でテストステロンの低下を防ぎ、高めていく方法を4つ紹介します。

適度な競い合い

テストステロンは、他人と競い合うことによって分泌が高まります。ゴルフやテニスなどのスポーツ、囲碁や将棋といったゲームなど、他人と競うことによって男性ホルモンは分泌されてきます。

また、男性ホルモンは自己表現して認められると高まります。例えば、趣味の世界でも作品を展覧会に出品する、カラオケで仲間と歌ってみるなど、社会やコミュ二ティーの中で自己表現できる場所をつくることが大切です。

運動の習慣化

運動で大きな筋肉を動かすことは、男性ホルモンの増加につながります。筋肉自体もテストステロンをつくっています。腕立てやスクワットなどの筋肉トレーニング、階段の上り下りや早歩きなどの運動を毎日10分くらいでも継続して行うと、男性ホルモンは上がっていきます。
また、サッカーやバスケットボールなどのチームで行うスポーツは、仲間や対戦相手を意識したり、勝って盛り上がったりすることにより、テストステロンの分泌を高めることが期待できます。

お勧めの運動:キャッチボール

更年期障害の対策でおすすめの運動、キャッチボール

男性ホルモンがちょっと減ったなと感じる更年期障害の方にお勧めなのが、キャッチボールです。
若いころの記憶がよみがえることで前向きな気持ちになったり、相手との心の絆が生まれたりします。また、相手の捕りやすいところにボールを投げたり、自分が捕りやすいように動いたりするため、集中力が必要となり、更年期障害の症状の1つであるうつ症状の改善に有効だと考えられています。

夜更かしをしない

男性ホルモンは眠っている間、特に夜中の1~3時ごろに多くつくられるので、睡眠時間を十分にとることが大切です。LED(発光ダイオード)の光は、交感神経を刺激して睡眠を妨げてしまうので、質の高い睡眠のためには、就寝前はスマートフォンやパソコンの使用を控え、照明を落としてリラックスしましょう。

ストレスをためない

強いストレスが起こると、脳は精巣(精巣)からテストステロンを出すという司令をシャットダウンして、テストステロンをつくる働きが低下してしまいます。そうはいっても、現代社会の中でストレスを全てなくすのは難しいので、ストレスがあるということを前提にその解消法を考えることも大切です。

ストレス解消法 入浴・マインドフルネス・睡眠

多くの人に有効なのが入浴です。ゆっくり湯船につかり、1日の疲れを癒やしましょう。また、笑うことや、30秒から10分間程度、呼吸を整えて気持ちを落ち着かせる「マインドフルネス(瞑想[めいそう])」も有効です。
好きなことに没頭するなど、自分なりのリラックス法を見つけましょう。

食生活を見直す

テストステロンをつくるには、良質なたんぱく質をとることが必要です。
肉に含まれるアミノ酸の一種であるカルニチンには、テストステロンの分泌を高める作用があります。特に羊の肉(ラム肉)などに多く含まれています。また、貝類は良質なアミノ酸とともに精巣に働く亜鉛を多く含んでいるので、テストステロンの分泌を促すとされています。
「糖質ダイエット」が流行していますが、テストステロンを作るには糖質も必要です。糖質や脂質、食物繊維などをバランスよくとることが大切です。人との会話を楽しみながら食事をするとよいでしょう。

男性の更年期障害の治療

漢方薬

漢方薬 補中益気湯の特徴

血液検査で、血液中のテストステロンの値がそれほど低下していない場合や症状が軽い場合は、漢方薬や症状に応じた薬を使って治療します。

代表的な漢方薬は、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」です。だるい、気力がない、疲れやすいなどの症状の改善に有効で、年齢を問わず使用できます。また、ストレスがあると分泌されるコルチゾールというホルモンや、コルチゾールの分泌を促す副腎皮質(ふくじんひしつ)刺激ホルモンの分泌を低下させる作用があります。
補中益気湯を1か月間程度使うことで、症状の改善が期待できます。

そのほか、男性ホルモンの一種であるDHEAの分泌を高めるのに有効な「八味地黄丸(はちみじおうがん)」を使うことがあります。また、コルチゾールの分泌を低下させることでテストステロンの分泌を高める作用がある「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」は、比較的年齢が若くストレスを強く感じている人に勧められます。

症状に合わせた薬物療法

症状に合わせた薬物療法

うつ症状や不安症状などがあらわれている場合は、「抗うつ薬」や「抗不安薬」を使います。
性欲の減退や勃起(ぼっき)力の低下など、性機能に関わる症状があらわれている場合は「ED(勃起障害)治療薬」を使います。さらに、脳の疲労感、体がしんどい場合には、「ビタミンB剤」を使います。特に精神的な疲労感が強いときには、ビタミンB6が有効とされています。

男性ホルモン補充療法で気をつけること

男性ホルモン補充療法で気をつけること

テストステロンが著しく低下していて、体と心の症状が強い場合は、テストステロンを補う「男性ホルモン補充療法」を行います。
健康保険が適用されている男性ホルモン補充療法では、テストステロン製剤を2~4週間に1回、腕やお尻の筋肉に注射します。3か月間程度行って効果を確認し、効果がある場合は1年間を目安に継続します。

年齢を問わず行えますが、テストステロンを長期間補充すると、精子をつくる機能が抑制され、男性不妊が起こるおそれがあります。そのため、将来、子どもを希望する場合は、女性ホルモンの一種である「hCGホルモン」を使ってテストステロンの分泌を促します。hCGホルモンは原則、1週間に複数回注射します。

男性ホルモン補充療法で注意が必要な病気

男性ホルモン補充療法で注意が必要な病気

前立腺がんがある人の場合、がんを進行させる可能性があるため、テストステロンの補充は行いません。肝臓病がある人は、肝臓に負担がかかる可能性があるので対象外となります。睡眠時無呼吸症候群がある方の場合は、テストステロンを補充すると、症状が悪化する可能性があります。

男性ホルモン補充療法の副作用

男性ホルモン補充療法の副作用

テストステロンの補充療法というのは、基本的には安全な治療ですが、投与量が多くなると血液の濃度が上がる「多血症(たけつしょう)」を引き起こすことがあり、のぼせたり、ときには脳梗塞が起こるリスクがあります。
そのため、男性ホルモン補充療法の治療中は、1~3か月ごとに定期的な血液検査が必要です。

医師は、診断の最初の段階で、他の病気の可能性がないかも当然スクリーニングをしていきます。
男性ホルモン補充療法を行っても効果が現れない場合は、うつ病、脳の下垂体や甲状腺の病気など、他の病気が疑われるため、精神科や心療内科、脳神経内科、内分泌内科などでの治療が検討されます。

テストステロンは、意欲、認知力、体力の源となって私たちの社会活動を支え、長い間、自立した生活を可能にしてくれます。そのテストステロンが下がってしまうのが、男性更年期障害です。この状態を放置せず、テストステロンをいつまでも維持して豊かな生活を送りましょう。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2020年8月号に詳しく掲載されています。

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