関節痛と漢方

漢方では、慢性的な関節の痛みの背景には「冷え」と、「気・血・水(き・けつ・すい)」のうち「血と水の異常がある」と考えます。特に、血の巡りが悪い「瘀血(おけつ)」、水の巡りが悪い「水滞(すいたい)」が関係すると捉えます。治療では、まず体を温めて「気・血・水」のバランスを整えます。関節の症状に対する漢方治療では、病気や症状に応じて西洋薬と漢方薬を併用します。
関節の痛みや腫れによく使われる漢方薬にはさまざまありますが、基礎になるのは、「桂皮(けいひ)」と「麻黄(まおう)」という2つの生薬(しょうやく)です。これらには、炎症を取り、関節に滞っている「水」の巡りを改善する効果があります。関節痛に対する処方としては、「葛根加苓朮附湯(かっこんかりょうじゅつぶとう)」「桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)」「越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)」などがよく用いられます。薬を選ぶ際には、「生薬の配合」「冷えの有無」「水滞の状態」などから、患者さんにあった薬を選びます。